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「っだぁ!」
前から来た奴を左足キックで薙ぎ倒す。
倒れたところで左足を廊下に下ろした。
すると、背後から風切り音。
―…!しまっ……!
やられる、と思い振り返ったとき目の前の敵は崩れ落ちた。
―…!?
そいつが崩れ落ちたことで姿を現したのは左目眼帯の刑事さん。
「何ぼさっとしてる。」
どうやらこの刑事さんが昏倒させたらしい。
礼をしようとしたとき、刑事さんの死角…左上側から敵が刑事さんを右拳で殴ろうと飛んできた。
「!!」
地面を蹴り、刑事さんの左肩を両手で掴み、飛び上がる。
身体は刑事さんのほうを向け、右足でそいつの顎を蹴り上げた。
派手に吹っ飛ぶそいつ。
加減はしたから大丈夫…だと思う。
「すいやせん!肩使わせていただきやした!」
「…あぁ。」
一応さっきのことも含めて謝る。
―…しっかし、ほんと相変わらず気配が分かんねぇ!
6年前のときよりも気配が無くなっている気がする。
おかげで反応が遅れてさっきのようなことになる。
―…さすがの奇捜班にもこれは…。
そこまで考えて頭を振った。
ダメだ。諦めるな。
『生きろ。』
お互いを庇いあい、敵を庇いながら少しずつ前に進んでいく。
何だか不思議な気分だ。
つい最近まで敵同士だった者が共闘している。
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「おぃ、まだこいつらを止められないのか!?白雲子どもは一体何をしている!」
監視カメラのモニタールームで赤雲者が怒鳴りあっている。
そんな馬鹿どもを冷めた目で俺は壁にもたれ、腕を組みながら見ていた。
「分かりません!直ちに残りの白雲子を送りこんでいるのですが…!」
「何なんだこいつらは!捨て駒の白雲子らをものともせず…!一体何者なんだ!」
あらら、すっかり焦っちゃって。
お前らも洗脳されたほうがいいんじゃない。
「おい。」
隣にいる同じ赤雲者の阿伏兎が俺に話しかけてきた。
「あいつらぁ、おめーさんが捕まえてきたやつらじゃねーのか。」
「うん。そーだね。でも逃げられちゃったみたいだ。」
アハハと笑ってやる。
そんな俺に阿伏兎はやれやれとため息。
「上から何て言われるか分かったもんじゃねーぞ。」
モニターを見る阿伏兎。
「いいさ別に。」
俺もモニターを見る。
モニターの中では総悟達が暴れている。
ふと、気がついた。
総悟達は、白雲子に致命傷になるような攻撃をしていない。
いくら白雲子に攻撃されても捌いて鳩尾などを食らわし気絶させている。
―…ふーん。なるほどね。総悟らしいや。
「おぃ、あの金色の髪のやつ。」
今までモニターを黙ってみていた阿伏兎が声を上げた。
モニターの前にいる赤雲者はまだわめいている。
阿伏兎はたくさんのモニターの中から一つを指差した。
「あいつ、どっかで見たことある気がすんのは俺だけか?」
「さぁ?俺は知らないなぁ。人違いなんじゃない?」
「いや、何年か前に見た覚えが…「神威。」
部屋の入口にいる赤雲者に名前を呼ばれた。
「何?」
「上からの呼び出しだ。」
「分かった。すぐいく。」
来たか、と思い、そいつの壁から身体を離した。
入口に向かって歩き出したとき、阿伏兎が「ほら見ろすっとこどっこい。」などと言ったのが背後で聞こえた。
一度足を止め、モニターに振り返る。
モニターの中の総悟を見て心の中で呟いた。
――何があっても生きてよね。総悟。絶対に――
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