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奇捜班を後ろに、部屋を出た。
そして、廊下を走り抜ける。
チラと後ろを見ればさすがは奇捜班。ちゃんとついてきている。
すると前方からあの気配。
「……来やがったみたいでさァ。」
真っ黒な服を着た、目に光りが宿っていないのがざっと見でも50人はいるだろう。
「分かってると思いやすがくれぐれも……。」
「分かってるって。怪我させなきゃいいんだろ。」
銀髪の刑事さんが戦闘体制に入ったのが気配でわかる。
それに合わせ、奇捜班方全員が構えたのも。
「いや…そうじゃなくて…」
「?」
「怪我しないでくだせェ。」
そう言いながら構えを取れば後ろで笑う気配がした。
―…?
疑問に思っていると銀髪の刑事さんの声。
「ちょっとちょっと、俺達を誰だと思ってんの?」
「そうだぜ。俺らはよぉ」
「個性的な奴らばっか集まってて」
「うえ(上層部)からも変わり者扱いされてしまう」
「警察庁の問題班」
――奇捜班ですよ?――
それを聞いてクスリと笑った。
そして、前へ駆け出す。
**********
「っと!」
右手からの突きを捌き、その腕を後ろに回して首の一点を左手で叩いた。
白雲子はがくっと膝をつき廊下に倒れ込む。
これで5人目。
「ぐっ!がぁっ…!」
後ろで声が聞こえた。
―…! 刑事さん!
振り向けば20メートル後ろの右手側の壁に長い髪の刑事さんが首を抑えつけられている。
刑事さんを抑えつけている白雲子が腕を振りかざした。
―…間に合わない!!
咄嗟に腰に差していた棒を掴んで白いボタンを押し、やり投げのようにそいつに振り投げる。
ビュン、と風を切り裂き、そいつの脇腹にヒット。
少し身をよじり、そいつは押しつけていた手を緩めた。
その僅かな隙をつき、刑事さんが投げた棒を掴み、そいつの首筋に当てがう。
2秒後、そいつは倒れた。
刑事さんも壁に背を預けうずくまり咳込んでいる。
「刑事さんっ!」
急いで駆け寄ってしゃがみ込み、背中をさする。
「ガッハ…!ゲホッ……!」
「しっかりしてくだせェ!」
「グッ……た…使っ……る…かっ…?ハァッ…。」
「え?」
刑事さんが何かを喋った。
よく聞き取れず、聞き返す。
―…!
そのうちに別の一人が襲ってきた。
下からえぐるように鳩尾(みぞおち)に拳を入れ込む。
次々と立ち向かってくるのを刑事さんをかばうようにして捌いていった。
―…さすがにちょっとキツイな…。
拳を突いてきた奴の懐に入り込み、鳩尾を下から狙い撃つ。
――ガキッ。
「!」
入った、と思った。
が、拳が感じたのは肉質ではなく硬質。
―…こいつ服の下に何か入れてっ…!
そいつは前方に一回転し、俺の後ろ首に手刀を入れた。
「!!」
ガッと言う音が頭の中で響いた。
攻撃を感じ取り、すんでで身をひねったがくらっとする。
足から力が抜ける。
――ゾワッ。
寒気が、した。
多分今後ろで、あいつが俺を、殺そうとしている。
身体を動かそうとするが、力が入らない。
と、後ろで何かが倒れ込む音。
「済まない、もう大丈夫だ。」
目線を後ろにすれば長髪の刑事さん。
あの棒を武器に、次々と襲ってくるのを捌いていっている。
おぉ、と感心していると前方からの攻撃。
もう脳震盪は治まったらしく、反射的にそいつの肩を掴み鳩尾を右膝で蹴り上げた。
「こちらこそすいやせん。こっちももう大丈夫でさァ。」
背中合わせに立ち、構える。
「そう言えば、さっき…っ!何て!言ったんですかィ!」
敵の首に手刀を入れながらの会話。
「?あぁ!これを使ったことがあるのっか…を!聞いたのだ!」
これ、と言った棒を敵の首筋に宛がいながら刑事さんが答えた。
「先日、それと全く同じものを…とっ!どりゃ!見たことがあったんでさァ!」
捌いていく。
「なるほど!それで電棒の機能を知っ…!ていたのか!」
「刑事さんこそ!電流が先から流れるの!知ってたん…!っですねイ!だから皮膚が薄い首にっ…てぇい!」
「当たり前だ!俺がこの電棒を作ったのだからな!」
大体の目の前にいた敵は片付いたらしく、二人は息を切らしながら背中合わせに構えていた。
「ちなみにGPS機能、音声機能も付いている。」
「へぇ。そいつはすげぇや。それでここの場所突き止めたんですねィ。」
「あぁ。ナイト殿が取り戻してくれたゲーム○ーイのおかげだ。」
「は?玄米?」
「……まぁいい。銀時達が先に進んでいる。後を追おう。」
言われて廊下の先をみればもうエレベーターより15メートルぐらい手前まで到着し戦闘している刑事さんら。
「行きやしょう!」
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