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それに今までゲーム○ーイをしていた坂田が否定した。
ナイトは少し驚いているようだ。
そのことは高杉の拘束具の解除の手を止めたことからわかる。
坂田はナイトを真っ直ぐ見つめて言った。(と言ってもナイトは高杉のを解除しているため坂田からはナイトの背中しか見えない。)
「それって、つまりお前は人を救うために犯罪に手を染めたわけだろ。そんな奴の言うこと信じないほうがどうかしてる。はっきり言って高杉より信用できるな。」
「おぃ。」
高杉が突っ込む。
構わず坂田は続けた。
「お前は犯罪者なんかじゃねぇよ。だからあのとき俺を手当てしてくれたんだろう?優しくて立派な少年だ。俺が保証してやる。」
坂田の言葉から少し間をおき、ナイトが坂田のほうへ顔を向けた。
こちらからは横顔しか見えないがナイトは坂田に笑いかけた。
「ありがとうごぜェやす。」
そして解除を続行するために高杉に向き直る。
……若干坂田の顔が赤く、「ヤラレタ…。」などとほざいたのは気のせいだと思いたい。
「なぁ。」
高杉がナイトに話しかけた。
「怪盗……怪盗ミラージュ(蜃気楼)はお前の知り合いか?お前が付けていたアイマスク……あれはミラージュも付けていたらしいじゃねぇか。」
職務質問のような内容。
確か、俺が高杉と桂に見せた資料にそういうことを仄めかすようなことが明記されていた。
解除作業の手を止め、高杉を少し下から覗き込むような形で見るナイト。(手の解除は済んだらしく足の解除を行っていたから。)
少し目線をさ迷わせてからナイトは答えた。
「ミラージュは……俺がここで育ったときの俺の師匠みたいなもんでさァ。アイマスクは師匠から貰ったもんです。」
「ミラージュは6年前から現れてねーが何かあったのか?」
ぐっとナイトが手に力を入れたのが俺からでも分かった。
そして苦しそうに言葉を漏らした。
「……死にやした。6年前に。まぁ俺もついさっき知ったんですが。」
「「「「……。」」」」
ナイトの声色に何も言えない。
そんな中、ナイトが苦笑した。
「やだなぁ、そんな顔しないでくだせェ。少し悲しいだけですから。師匠の死は決して無駄なんかじゃなかったし。……刑事さん、手が止まってやす。そこを赤端子に接続でさァ。」
またもや部屋に静寂が訪れた。
カチャカチャと作業の音しかしない、気まずい雰囲気。
ふいに高杉がナイトに顔を近付けた。
ナイトは足の拘束具を解除しているため高杉は前に屈んだ状態になる。
そしてナイトの左耳の横で口を動かした。
「―――――――。」
「っ!」
その言葉は聞こえなかったが、ナイトの顔が一気に赤くなった。
ゴシゴシと顔を乱暴に拭い、作業を続け始める。
高杉はナイトをこどもを見るような……柔らかい目で見ていた。
―…なんだったんだ?
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「全員解除しやしたね?」
「おぅ。」
「あぁ。」
「うむ。」
「もちのろん。」
「うん、じゃあさっき言った通りでさァ。今から敵がたくさんいる廊下を突っ切抜けて突き当たりのエレベーターに乗って地上にでやす!敵はなるべく気絶させて怪我はさせないようにしてくだせェ。」
頷く4人。
部屋を出る前、高杉にこっそり聞いた。
「なぁ、さっきナイトに何て言ったんだ?」
すると高杉はニヤリと笑った。
「教えねーよ。」
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