コイツが小説家になりたいだなんて夢にも思わなかった。笑い飛ばしてやってもよかったけれど、どうやら真面目に考えてるらしいのでやめてやった。とりあえず話を聞こう。「なんで小説家?」「本が好きだから。」「単純だな」「最初はみんな、そんなもんでしょ?」志望動機は単純明快。呆れを通り越して清々しさを感じる。俺は溜め息をついたが、真剣に俺を見る幼馴染の熱意に負けて渡された原稿用紙に書かれた好みではない純愛小説を読んだ。やっぱり、このジャンルの小説は好みじゃない。