伝わらない、届かない。

この月をヨシタケも見てるかな?肌寒い夜空の下、私はなにもする気が起きずにただ月を眺めていた。

「‥‥あと、もうちょっと。もう少しで‥」

携帯の液晶に映る時間に笑みが浮かぶ。もう少しで時計は夜の十二時を示す。そうすれば私とヨシタケは付き合ってから半年になる。半年記念日。長いようで短かった日々。幸せな日も、泣いた日もあった。でも、明日はきっと幸せな日になる。

「はやく、はやく‥」

ヨシタケはいつもいつもお友達を優先していたけれど、明日こそはきっと私を見てくれるはず。いつも二番手の私が一番手になれる。いつもはなんとも思ってないヨシタケだって、きっとそれくらいしてくれる。


今日くらい、愛によくしてやるか。って思ってくれる。


ああ、早く明日にならないかな。待ち遠しいな。

「明日は一緒に帰れる‥帰り道に、駅ビルに寄ってお揃いのストラップなんか買っちゃったり、手を繋いで歩いてみたり‥」

明日へ思いを馳せる。今考えるだけでも楽しい。実現出来たらいいな。普段の寂しさを明日で発散しよう、カラオケなんかも行ってみたいな。そしたらね、ヨシタケに私のだいすきなラブソングを歌ってもらうの、私のために。

「楽しみだなぁ‥」

明日は、私だけにその優しさを向けてくれるといいな。

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