ヨシタケの腕に自分の腕を絡ませる。ヨシタケはすごく照れていたけど、私が嬉しそうにしているのを見て、諦めたようだ。ヨシタケのポケットから出て揺れてる白のストラップが眩しい。
「この後、どうすっか」
「ヨシタケはどこか行きたいとこある?」
「久しぶりにカラオケでも行くか?」
その言葉にカラオケに向かう私たち。指定された部屋に入り、機械を使って曲を選ぶ。
「ねえ、ヨシタケ。あの曲歌ってよ」
「愛の好きな曲?」
「うん」
「俺‥この歌、歌ったことないんだけど‥それでもいいか?」
「いいよ。ヨシタケが歌ってくれれば、それで」
マイクを持って歌うヨシタケの横顔を私はずっと見ていた。切ない恋心を歌うラブソングは、私のだいすきな曲。間奏の時にヨシタケは私の方を振り向いて私の一番好きなフレーズを歌った。
『ぼくは一生忘れない、きみの笑顔の中にある涙を。』
そのフレーズを歌った時のヨシタケの目は真剣そのものだった、ような気がした。