私は帰ろうと寄り掛かっていた壁からゆっくりと背を離した。だって、優しいヨシタケは困ってる友達を放っておけない。なら、私はいる意味がない。足を踏み出そうとした時‥
「悪い、今日は大切な約束があるんだ。」
思わず足が止まる。そしてヨシタケの言葉の意味を考えた。大切な約束‥それは、自惚れてもいいのかな?
「マジかよ‥でも、ま‥そんな大切な約束があんなら仕方ねェか。今度おごれよ」
「俺が金欠なの知ってんだろ、嫌がらせか」
「じゃあな。」
「おう、また明日な」
ヨシタケが門から出てきて、私を見付けた。そして優しく笑いかける。
「お、随分と早いな。悪い、待ったか?」
「‥ううん!嬉しいことがあったから、平気!」
今日、ヨシタケが初めて私を優先してくれた。