「大丈夫か?悪かったな、キッドがばかなことをした。もっと早く止めていればウミに傷を負わせることはなかったが」


教室でひとあばれしたキッドの巻き添いを喰った私はキラーに手当をしてもらっていた。そこまでしてもらわなくてもいいと遠慮したのだが、キラーは手当させてくれと言ってきた。だが保健室はグッタリと気絶している生徒で溢れ返ってる。まるで野戦病院だ。


「ありがとう。」

「守ってやれなくて悪かった」


キラーの悲しげな声に胸が締め付けられる。こんなことを言ったらキラーに怒られるだろうけど、内心‥怪我をしてよかったと思う。だって、こうしてキラーと一緒にいられるから。


「痛みはないか?」

「うん、痛くないよ。」


私は頬に優しく触れるキラーの手にそっと手を重ねた。微かにキラーの手がピクッと反応する


「ほんとにありがとう」

「これなら傷痕も残らない。よかった、ウミの顔に傷でも残ったらいくらキッドといえど冷静では居られなかったな」

「大丈夫だよ。あ‥もしかして傷物の私はイヤ?」


冗談混じりに私がそういうと、強く抱きしめられた。そして耳元で呟くように私に言う。


「バカなことを言うな‥おれがウミを嫌う訳ないだろう。」


そう。実は私たちは、人知れず付き合っている。別に隠したいからという訳ではない。ただ、特に言うことでもないのであまり人に言っていないだけだ。現に私たちの交際をキッドは知っている。


「わ、ちょ、キ、キラー」

「どうした?」


優しい声色で聞いてくるキラーにクラクラするけど、此処は保健室。そしてこの学校の保健室は喧嘩の敗北者の行く先‥気絶こそしているものの保健室はゾンビみたいにうーうー呻いてる人で溢れている。


「‥ゾンビ‥いや、人が‥」

「‥‥‥ああ、出るか。」




野戦病院の隅から





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