タダクニからとても感激する景色のプレゼントをもらって私の機嫌は最高によかった。朝から色々とあったけど、今日は最高の誕生日だ。

家のドアを開けて家に入ろうとすると近所に住む男子高校生、ヨシタケが通り掛かった。


「ん?お、よう。」

「やっほー、ヨシタケ。今帰り?」

「ああ。」

「遅いじゃん、どうした」

「バイト帰りだからな」

「ああ‥今日バイトだったんだ」

「まあな」

「おつかれ、頑張って稼げよ。」


私が笑いながら言うと、ヨシタケは私のパンパンに膨れた鞄を見て怪訝そうに尋ねる。


「なんでそんなに大量なんだよ」

「この中にはみんなの友情という名の結晶が詰まっているのだよ。」


学校の友人や、男子高校生たちがくれたプレゼントでいつもすかすかな私の鞄はパンク寸前。私は誇らしげにヨシタケに見せた。


「へえ‥出所祝い?」

「入ってもいねぇよ!」

「ならなんだよ、恐喝でもしたのか」

「違うし!今日は私の‥!」


私がムキになってヨシタケに反論しようとするとヨシタケが私に近付いてきた。なので言葉が途中で止まる。


「愛、誕生日おめでと、」


ヨシタケは私の目の前に来てあっけらかんと言い放つ。


「は‥?」

「あ?誕生日じゃなかったか?」

「‥覚えてたんだ。バカなのに、」

「最後の一言は余計だバカ」


おでこにデコピンを喰らう。痛い、がヨシタケが私の誕生日を覚えていたことに驚きと喜びを感じていた。


「また歳食ったな、ババア」

「うっせ、お前もすぐだジジイ」


ヨシタケは私の頭をポンポンと軽く叩くと笑った。


「んじゃな」

「誕生日プレゼントは?」

「ねーけど。」

「バイトしてるくせに用意してねえのかよ」

「なに言ってんだ。祝ってやっただろ、ハッピーバースデー愛。」

「仕方ない、今度奢れ」

「駄菓子ならな」


そういって家の中に消えたヨシタケを見た後に私も家の中に入った。


夜、最後にもらったおめでとうは
おバカな近隣住民、ヨシタケからの
おめでとうの言葉だけだった。



ああ、今年は良い誕生日だった。

私は彼がくれたプレゼントを思い出して一人、静かに微笑んだ。







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