「うまうま、」 先程、としゆきくんにもらった飴玉を舐めながら昼食を買いにコンビニに寄る。私はいつものようにメロンパンとフルーツ牛乳を買い、外に出た。 「やあ、彼女。これから俺とお茶にでも行かない?」 「生徒会長がこんなとこでなにしてんだよ。さっさと学校行け職務怠慢」 聞き慣れた声にヘラヘラした笑顔。 それは北高の生徒会長だった。 会長は私にいつもの軽いノリで話し掛けてくる。とりあえずスルーしながら歩き出すが、会長は私の横をペチャクチャ話しながらついて来る。 「ついてくんな」 「ツレないな〜‥そんなこと言ったって途中まで道一緒じゃないスか〜」 「ダ○ルラリアットォオオアアア!」 「ぐふあっ!!」 「あ、ごめん。半径85センチはこの手の届く距離だったから、つい。」 「歌知ってる人じゃなきゃ意味わかんないすよそれ‥っ!」 私は会長にラリアットを喰らわせ、とりあえず謝罪する。いや、一応私実行犯だから謝罪だけでもしておかないと‥ね? 「ま、まぁ‥いいですよ、‥ぐふっ」 ヨロヨロと立ち上がる姿はさながらゾンビのようで若干怖い。逃げ出すかパンチを喰らわすか悩んでいたら、会長は私に近付いてくる。 これはもうパンチするしかないと覚悟を決めて右手を強く握りしめ、殴ろうとした‥が、私の渾身の右ストレートは避けられてしまった。 「う、‥げっ!」 「愛ちゃんの右手もーらい!愛ちゃん、お誕生日おめでとうございます、」 そして右手を掴んだ奴はこともあろうに私の右手にキスを落とした。 「ふっ‥ぎゃああああなにすんだこのチャラ男があああ!!」 一気に鳥肌が立って勢いのまま奴にタックルを喰らわしてしまった。奇声をあげ、鼻血を出しながら地面にノックダウンする奴を踏み付けて私は学校へと走り出した。 朝三番目のおめでとうは、 北高のチャラ男こと会長からの お祝いのキスだった。 −−−−−−−−−−−− ほ そ く。 会長が手にキスしたのには ちゃんと理由があります 手へのキスは確か、好意を 伝える意味を持っています。(多分) |