「としゆきくん」

「なんだ」

「としゆきくんの大好きな私と24時間通話可能でしかも通話料がなんと無料な魅惑の魔法道具があるんだけど、」

「遠慮する」

「話聞こうよ」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

「お願いします聞いて下さい」

「‥話してみろ」

「あなたと私を繋ぐのは運命の赤い糸?いいえ‥私達を繋ぐのは運命の赤い糸電話よ!!」

「いらん」

「ええっ!?」

「高校二年にもなってなにをしてるんだ、お前は‥」

こいつが取り出したのは赤く塗り潰された紙コップ‥基、糸電話。正直、ときめくどころか不気味だ。

「せっかく赤いペンで塗ったのに!」

「無駄な労力だな」

「あーあー、もしもーし」

「それに糸電話では24時間の通話は可能じゃない。距離が限られている。確かに通話料は無料だがな‥そして糸が弛んだまま、話しても聞こえないぞ。そもそも糸電話は音声を糸の振動に変換して伝達し‥」

「なるほど、わからん。細かいことはいいから通話しようよ」

「‥少しだけだぞ」

「はい、としゆきくん専用」

「ちっとも嬉しくないな」


「もしもーし、聞こえるー?」

「ああ」

「としゆきくんは忘れてるかもしれませんが実は今日、私達の付き合って1ヶ月の記念日でーす。覚えてたー?」

「‥それでこんなことを」

「いつもいっぱい迷惑かけてる私だけど、としゆきくんが大好きな気持ちに嘘はないでーす。これからもずっと、一緒にいてくださーい!」

「‥‥言われなくてもな、」

「なんだかんだ私のすることにいつも付き合ってくれる優しいとしゆきくんがだいすきー!」

そういって、あいつは糸電話を離して走り出した。


「バカだな‥おれもだよ、」


聞いてる相手は誰もいないのに俺は糸電話に向かって普段は絶対に言わない言葉を言った。


信不通ラブコール。

(今なら言えるから)






やっぱり唐沢さんの糸電話ネタ書きたくてやりました。反省はしていない。

拍手ありがとうございました!

( 4/18〜5/19 )
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