「やっばい、遅刻遅刻ー!」


昨日の夜、ずっとヒーローのことを考えて眠れなかった私は見事に遅刻をした。今はパンをかじりながら走っている


(そういえば、ヒーローには会えたけど‥あの人は誰なんだろう)


走りながらヒーローのことを考えていた。素顔は見れたけれど、名前も年齢もわからない。


「聞いておけばよかったっ!」


後悔を叫び、曲がり角を曲がる。曲がった先に居たのは靴紐を結んでる男子高校生。私は止まることが出来ずにちょうど膝の位置にあった男子高校生の顔面に膝蹴りを食らわし、倒れ込んだ。


「いたいっ!」

「ぶえ!」


転んだ衝撃でまだ半分以上あったパンが宙に飛び‥落ちた。


「あああ!私の朝ご飯!」

「っ!ぐふっ、‥〜〜っ!」


男子高校生は蹴られた顔面を押さえて転げ回ってる。加害者は完全に私だがそれどころではない


「パン‥‥って、私、遅刻しそうになってたんじゃん!くそう!大丈夫ですか?すいませんでした、では急いでるんで!」


私は鞄を持って立ち上がり、そして学校に向かって走り出した


「な‥なんなんだ‥俺の知ってる展開と違う‥普通は手を差し出して芽生えるんじゃないのか‥?」


蹴られた男子高校生もとい、ミツオ君は顔面を押さえながら起き上がる。


「あ‥パン落ちてる。」


パンを見た時、ミツオ君の腹が鳴る。しばらくパンを見て‥


「ま、いっか。」


パクリとイチゴジャムが塗られた食パンをかじりながらのんびりと学校に歩いていった‥




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