「このことは内緒よ?ヒーローは毎日、身を削りながら悪と戦ってるんだから、いい?」


と、言い残して口元を引き攣らせている俺の家から愛は出た。部屋に残された俺はひとまず、今回の状況を整理する。


まず、愛はヒーローが好き。そしてヒーローに会いたいがために15年間も神社に通い続けて願っていた。

そしてそこに来たのだろう‥愛のヒーローであり、俺の親友の一人であるヨシタケが。

ヨシタケがヒーローのお面なんて着けてるものだからアホな愛はヨシタケをヒーローと勘違いして、追い回す。

そりゃそうだ。15年間も必死に願い続けて、ちょうどそこにヒーローのお面着けた奴が現れたら‥アホな愛はそいつをヒーローだと信じて疑わないだろう。

そして、当のヨシタケは状況を全く理解出来ていない。

神社に遊びに来たら、女子高生からいきなりヒーローと言われ、追い回されるのだ

恐怖の対象にしかならないだろう


「‥そして、ヒーローが俺と同じ制服を着ていたということにアホな愛は全く気付いてない!」


なんだ、このカオスは。

俺は小さな溜息をついて、これからどうしよう‥などとボンヤリ考えていた。




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