「はあ‥行っちゃった‥」


河原をトボトボと歩く私。先程、神社で出会った私のヒーローはそのまま駆けて去ってしまった。


「もしかして‥助けを求めてた人がいたから行っちゃったのかな!もし、そうならすごい!」


「おーい!愛!」


神社からの帰り道、河原を歩いていると幼馴染のヒデノリの声がした。私は声を掛けられた方を見る。すると、本を片手に河原に寝転んでるヒデノリがいた


「ヒデノリ!」

「お、どうしたんだよ、今日はいやに上機嫌だな。」

「またこんなとこで本読んで‥河原で一人、黄昏れる少年やりたいのわかるけどいい加減、そういうカッコつけ止めなよ」

「カッコつけじゃねーよ!」

「大体、誰が喜ぶのさ。それで」

「‥‥‥‥い、いるっつーの!黄昏れる俺で喜ぶ女子!」

「は?誰よ、その趣味悪い女子」


ザッ‥


私は後ろにただならぬ気配を感じて振り返る。するとそこには‥


「や‥やっさん?」

「‥‥‥‥‥」


私の背後に立っていたのは友人のやっさんだった。でも、やっさんは何故かとても怒っている


「な、なんで怒ってるの‥?」

「いやぁああ、いやあぁあああ!おのれ、出たな妖怪‥っ!」

「え?なんのこと?もしかして河原で黄昏れるヒデノリで喜ぶ女子ってやっさんのこ‥」

「ふんっ!!」

「ぶふ!」


やっさんは私にボディーブローを喰らわした。私は友人の突然のボディーブローに崩れ落ちる


「ああああぁあああ!」


ヒデノリは何故か、泣きながら荷物も持たずに走り出す。やっさんはそれを見て‥


「!!‥〜〜っ!、」


なにかを叫んで逃げるヒデノリの後を物凄いスピードで追いかけた


「え、ちょ‥な、なに‥ぐふっ」


私は今日初めて泣き叫ぶ幼馴染とその幼馴染を鬼気迫る表情で追撃する友人を見た。

薄れゆく意識の中、私は残された力で河原に文学少女とダイイングメッセージを残し、気絶した―‥





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