河原で偽ヒーローを撃退した私は家の近所を歩いていた。ヤナギンには殴られるし、ヒーローかと思った男は偽物だったし‥今日は散々だ。

溜息をついて本物のヒーローに会いたいと思いつつ、前を見る。


「っ!?」


前を見た瞬間、私は心臓の動きが早まるのを感じた。後ろ姿しか見えないけれど今度こそ間違いない。あの金髪は‥神社で出会った私のヒーロー!

私は信号を駆け抜け、ヒーローの元に全力疾走した。そしてヒーローの腕を掴んで私は彼を呼ぶ。


「ヒーロー!!」

「はい?」

「ひっ‥!?」


だが、振り返ったのはヒーローではなくて‥犬を抱き抱えた強面の明らかにヤンキーな男だった。


「‥‥‥‥‥」

「‥あの、どうかされました?」

「‥‥‥‥‥‥‥」


私は顔を真っ青にして、口をパクパクと開けることしか出来ない。昔は悪いことしてましたみたいな雰囲気を持つ男とその男に抱き抱えられた犬はとてもミスマッチだ。そんな恐ろしいことは口が裂けても言えないけれど、


「あ、俺になにか相談事でも‥?それならこんな道端じゃなくて北高の生徒会室に‥」

「‥す、すいません調子こいてました‥っ!!」

「え?」




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