「あだだ‥ヤナギンがぶん殴ったとこ、たんこぶになってるよ‥」


レンチで殴られた頭をさすりながら私は家に帰っていた。河原でやっさんがヤンキー風の人に絡まれていたけど怖いので、とりあえずスルー。ごめん、やっさん。でも‥やっさんはこの前、私にパンチ喰らわせたからいいよね?


「‥なんで自分から絡んだくせに顔真っ赤にしてんだろあの人‥」


私はその不可思議な行動の一部始終を眺めた後、視線を前方に移す。そして私は目を見開いた


「あ‥あれはっ!」


そこには私が出会ってから慕って止まない真田のヒーロー。ヒーローは私の遥か前を歩いていた。後ろ姿しか見えないが、私は彼はヒーローだと確信して走り出す。


「待ってください!ヒーロー!」


夕日に染まる金髪は前見たより少し長く見えたが、きっと気のせいだと私はヒーローの肩を掴む。


「え?俺?」

「!!?」

「なになに?俺がヒーロー?」


私に肩を掴まれ、後ろを振り返ったのはあの時のヒーロー‥ではなく、なんかヘラヘラ笑ったチャラそうな金髪の男だった。


「‥‥‥‥‥‥」

「え、マジ?てかこれ逆ナン?」

「誰だよ!!」

「すみませんっ!」


怒りが込み上げてきた私はその元凶であるチャラ男の顔面に右ストレートを喰らわした。


「‥ったく‥私のヒーローじゃねえのかよ、紛らわしい!このエセヒーローが!」

「あ、あのね‥俺、お、女は殴らない主義で‥っ、」


そういって男は地面へと倒れる。私は溢れ出る怒りを隠すこともせずに再び家への道を歩き出した。




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