「み‥ミツオ君、」
「なに?」
「あ、あのさ‥私、昔から‥」
私は今、ミツオ君に一世一代の告白をしようとしている。私の目の前にいるミツオ君はポカンとしていて、この空気を全くわかっていない
「どうした?今日の愛、変だぞ」
「だから、私はミツオ君が‥」
「げ!悪い!俺、ヒデノリとヨシタケに呼び出されてんだった!また後にしてくれよ!」
「あ、ちょ‥ミツオ君っ!‥‥行っちゃった‥」
その場に取り残された私は仕方なく踵を返し、家に帰った
「‥‥好きです‥いや、違うな‥」
直接告白するのが失敗したので私はラブレターをミツオ君に渡すことにした。そして、机からレターセットを取り出して作業に入っている
「ミツオ君が昔から‥なんか、ありきたりすぎるな」
書きかけの手紙をグシャッと紙を丸めて後ろに放りなげる。そしてまた手紙を書く‥を繰り返していた。
「ぐうっ‥書けない、」
私は頭を抱えた。
「あー!ダメダメ!悩んでるヒマがあったら手動かさなきゃ!」
私は気を引きしめ直し、再び机に向かった
「すいません、おばさん」
「いいのよ、あの子ったら家に帰るなり部屋に入ってなにかしてるの。部屋の外にゴミをいっぱい散らかすし」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、すぐにお茶を持ってくるわね」
「うっわ‥すげえ散らかってんな‥全部、紙か?なにやってんだよ」
カサッ‥
「!‥‥‥‥」
「あー!もう!全然ダメ!‥って、ミ、ミツオ君‥!?な、なんで‥ていうかその紙はっ!!」
「‥‥愛、これ‥」
「か、返して!」
「ヤダ」
「〜〜〜っ‥!!」
「愛、これに書いてあることって‥ほんと?」
「‥‥‥‥‥」
「‥‥愛」
「‥ほ、んと‥私、ミツオ君が‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「好き‥」
「‥‥俺も、愛が好き。」
そして私のグシャグシャに丸まった手紙をポケットに入れ、ミツオ君は私の顔に自分の顔を近付けた―‥
差出人不明恋文多通