「俺の首領パッチ号のが速い!」
「私のガパパビッチ号のほうが遠く飛べるわ!」
庭に立つヨシタケと愛の手にはそれぞれ品種改良した紙ヒコーキ。
「愛、勝負だ!」
「望むところよ、ヨシタケ!」
そして2人の手からそれぞれの紙ヒコーキが空へと飛び立った―‥
「なあ‥たかが紙ヒコーキの勝負だぜ?そんな落ち込むなよ、愛‥」
「‥‥私のガパパビッチ号‥」
「愛のガ、‥ガパパビッチ‥だっけか?カラスに攻撃されなきゃ、俺の首領パッチ号が負けてたぜ!」
「カラスさえいなきゃ‥」
愛は部屋の片隅に膝を抱えて座っている。先程の紙ヒコーキ対決はヨシタケに軍配が上がったようだ
「‥ガパパビッチ号、」
「‥‥愛‥」
ヨシタケはしばらくなにかを考えて机にむかった。
「‥‥‥‥‥」
愛は壁と向かい合って座り、敗北を嘆いていた。すると‥
コツン‥
「?」
頭になにかが当たった。
後ろを振り返ると自分のすぐ下に紙ヒコーキが落ちている
「‥‥紙ヒコーキ?」
今、自分に当たった物はなんの変哲もない紙ヒコーキだった。
「開けてみろよ」
「‥‥‥‥」
ヨシタケの声を聞いて、私はルーズリーフで作られた紙ヒコーキを開く
――好きだ。 だから元気だせ!
「‥‥‥」
ヨシタケを見ると頬を赤く染めてた
「‥‥ヨシタケ、」
「‥なんだよ」
「ありがと、私も好きだよ」
「!」
「でも‥」
「な‥なんだよ‥?」
「好きだから元気出せって意味わかんない」
「‥‥‥‥‥」
紙ヒコーキラブレター