「文字の読み書きを教えろだ?」

「はい!」

「‥めんどくせえ、」

「そうおっしゃらずに!」

「‥‥なんでだ?」

「‥内緒です!」

「出てけ」

「待ってくださーい!」

「足にしがみつくな」

「教えてー!」

「‥読み書き覚えてなにする気だ」

「‥‥う、て‥手紙、」

「手紙?」

「うん‥手紙を、かきたいの」

「‥誰にだ?」

「ひ、ヒミツ!これは絶対内緒!」

「‥‥‥‥」

「キャプテン‥お願いっ」

「‥‥チッ、真面目にやらなかったら消すからな」

「はい!ありがとうございます!」

そこからおれは足に纏わり付く愛に文字の読み書きを教えることになった。

「う‥な、なにこれ難しい」

「弱音吐くな。早く真似て書け」

「‥‥‥か、書けた!」

「下手くそ」

「うわーんっ!もっと効率良い方法教えてくださいよ!」

「慣れろ」

「わかんないよ!」

やはりすぐにとはいかないようだ。
それから数日間、暇な時間を見付けては愛はおれの部屋に来て文字の読み書きを教わった

「ど、どうですか?」

「まあ‥読めなくもないな」

「や‥やったー!ありがとう、キャプテン!これで手紙書けるよ!」

「満足したか」

「はい!」

そういって愛は笑顔で俺の部屋から出ていった。先程まで騒がしかった部屋は静かになり、俺は読みかけの本を読み出した



次の日になって、愛はまたおれの部屋に押しかけてきた

「‥‥読み書き出来るようになったんじゃなかったのか、」

「はい!今日はコレをお届けしに参りました!」

「‥なんだ、紙切れ‥?」

「読んでからのお楽しみです!それでは、アディオスアミーゴ!」

そういうと愛は走って消えた。おれは渡された紙を開く。

「!‥フッ、」

紙切れを見るとまだ拙い文字で‥

―せんちょうへ、

文字のよみかき教えてくれて
ありがとうございます!
私はせんちょうがせかいで1ばん
だいすきです!これからも
ずっとそばにいてくださいっ

―――愛より


「‥まだまだ、汚ェな。」

おれは椅子に腰掛け、この手紙の返事を書くために机の上にあるペンを手にとった


拝啓、親愛なる下僕




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