「じゃあな、」

「うん、ありがとう。」

「今日も5時か?」

「多分ね。」

「それくらいに来る。」

「うん」

「がんばれよ、」


そういって私にキスをし、キッドは踵を返して家に帰っていった。その背中を見送り、私は店内へと足を入れる。


「おはようございます」

「お、おはようございます先輩!」

「おっす、彼氏のお見送り付きでご出勤とはお熱いねえ」


新人の後輩の元気な挨拶と、その後輩に仕事を教える友人のからかいで出迎えられた

私はそのままロッカールームに入り、制服に着替えて仕事に入った



「ありがとうございましたー」


お店から出ていくお客様を見届け、雑誌コーナーを見る。いつもは立ち読みをしている人がいるけれど、今は誰もいない。


「‥‥‥‥‥」


そこで、自分の彼氏であるキッドを思い出した。キッドと私の出会いはこのお店‥月曜日と水曜日になると決まって立ち読みをしに来るキッドとその時間にちょうど働いていた私はいつからか知り合いになっていた

そして、他のお客様がいない時はよくレジ越しで話していた。レジに肘をかけて話すキッドにいつからか‥私は恋心を抱いていた。

そこから私とキッドの交際は始まった。キッドは見掛けによらず、とても優しい人で‥必ず、私がバイトの時には送り迎えをしてくれた。

すると、キャスがぼーっとしている私に話し掛けてきた


「見ろよ。お迎えが来たぜ」

「え‥早くない?」


私は店の外を見るとキッドがコンビニに向かって来ていた。


「なに言ってんだよ、もうすぐ5時だぞ?老化か?」

「なっ‥失礼ね!」


確かに時計を見るともうすぐ5時になる。どうやら私は思ったよりも考え事に耽っていたらしい


「あー‥なんか、今日はびっくりするくらいヒマだな〜‥」

「そ、そうだね。」

「でも来週からポテト半額デーだっけか?地味に忙しいんだよな‥」

「キャス。いつまでぶつくさ言ってんの?もう5時だよ」


5時からバイトの子と交代して私とキャスは上がる。急いで着替えて店内に戻るとキッドはいつもと変わらぬ場所で立ち読みをしていた。私は後ろからそっと近付き‥


「お客様、来週は合併号ですよ。」

「うお!びっくりした‥」

「またその雑誌。ほんと好きだね。でも買わないで立ち読みだけとか」

「いいだろ、一々買うのだりィんだよ‥場所もかさむし、」

「店員泣かせ。」

「るせェ、終わったら帰るぞ」


私は差し出されたキッドの手を掴んで悪戯っぽく笑った。


「立ち読み常習犯逮捕!」

「はあ?意味わかんねェよ、」

「キッド、お前を家に連行する!」


そういうとキッドは不敵に笑い、私を担ぎ上げた。


「うわっ!」

「誰が誰を連行するって?」

「離せ犯人ー!」

「ハッ‥形勢逆転だな、」


そのままキッドに担がれながら私とキッドは帰路についた。



立ち読み常習犯と店員
(犯人確保‥失敗!)





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