「ありがとうございましたー」


お金をレジに入れ、私は店内に飾られてある時計を見た。

現在の時間は朝の7時10分。
もうそろそろあの人が来る時間だ。

少し前髪を整えて待つ。すると、外から見慣れた金髪の男性が歩いてくる。その姿を見た時、心臓がその動きを早める。


「い、いらっしゃいませー」


その人は黒いスーツを着こなし、長く綺麗な金髪の髪を揺らしながらいつものようにコンビニに入ってきた


「これで」

「はいっ!」


その人はいつものようにコーヒーとパンを買う。ちなみにコーヒーはブラック派らしい。


「今日も朝早くから大変だな」

「い、いえ!」

「大変だと思うが‥がんばれよ」

「はい!ありがとうございますっ!お勤め頑張ってください!」


私がこのコンビニでバイトを始める前からこの人は常連だったようで、私にも気さくに話し掛けてきてくれた。それが嬉しかった。朝は早くて辛いけれど‥この人に会いたいがために私は早起きをしてバイトに来る

その人は私の頭をポンポンと撫で、お店から出ていった。


「‥やっぱり‥カッコイイなぁ、」

「どうした、ウミ?」

「あ、ペンギンさん!な、なんでもないです!すいません!」

「キラーと話せてよかったな」

「!!?」

「好きなんだろ?キラーのこと」

「な、な‥んで‥!?」

「見てればわかる。」


同じバイトのペンギンさんは笑いながら顔を真っ赤にした私に近付いてきた


「キラーは彼女いないらしいぞ。」

「な、なにを‥!」

「よく話すんだ。キラーは昔からの常連だからな」


ペンギンさんはあの人と仲が良い。たまに店内で話してる姿を見かける


「ま、頑張れよ。」


ペンギンさんはあの人のように私の頭をポンポンと撫でた。そしていつも朝、シーチキンのおにぎりを買いに来る女子高生が来たのでペンギンさんはレジに立つ。

私は品物を棚に並べる作業に入った



次の日の朝、私はいつものようにレジに立っていた。だが、今日は何故か体が怠い。いつもはあの人に会える、と思うと元気になれたのに。


「‥はあ‥もうすぐなのに、」


時計の針は7時10分。いつもならドキドキしてあの人が来るのを待っているはずなのだが‥

そう落胆した時に、あの人は来た。


「これを頼む。」

「‥‥え?」

「どうかしたか?」

「い、いや‥珍しいですね、チョコレート‥お好きなんですか?」


あの人はパンとコーヒー以外に、小さなチョコレートをレジに置いた。やはり疲れて甘い物を欲しているのだろうか。


「いや‥おれはあまり。だが‥」

「え?」

「‥これは、いつも朝‥頑張ってるウミに。おれから贈らせてくれ」


私が袋に詰めたチョコレートを取り出し、私に向けて差し出した


「疲れてるみたいだからな」

「あ‥あの、わ‥悪いですよ、」

「すまないな。ここのコンビニで取り扱っている商品で」

「い、いえ!そんなことは‥!」

「バイトが終わった後にでも食べてくれ」

「あ‥ありがとうございます!」

「‥やはり、ウミには笑顔が良く似合う。それでも食べて元気を出して欲しい」


あの人はそういって昨日のように私の頭をポンポンと撫でた。そしてお店を出ていく。私は手元にあるチョコレートを見て頬を染めた。



レジ越しの恋
(きっとこの感情は、)





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