こんばんはキスしません?



こんばんは、皆さん
私は西高に通う花の女子高生、愛。

現在、私の視界は真っ暗。
え?ああ、別に目隠しされた上に無理矢理監禁されてるというワケでもないので悪しからず。

何故私の視界が真っ暗なのかというとそれは恥ずかしがり屋で初な私の彼氏の為であって、でもいくらなんでもこれ以上は限界なワケで、


「‥‥モトハル、」

「うお!な、なんだよ!」

「‥まだかね?」

「も、もうちょっとだって!」

「‥‥‥それ、10分前も聞いた」


私は今現在、正座で手を膝に置き、目をつぶっている状態。

かれこれ30分はこの体制でいる


「なにこれプレイ?」

「ちげーよ!」

「あのさ、モトハル‥私もこんなこと言いたくないんだけどさあ、」

「う、」


「キスするなら早くしてくんない?」


「わ‥わかってるよ!」


そう、そうなのだ。私がこんな拷問みたいな仕打ちを受けているのは全て‥モトハルのせい。

どうやら元々、照れ屋なモトハルはキスするのも恥ずかしくて勇気がいる行為らしく、私はその犠牲者になっているのだった。

「パッとしてチュッ!でいいじゃん」

「それをやろうとしてるんだろ!」

「普通のカップルはチューに30分も時間掛けないよ。あー‥もう限界、目開けるよ」

「あ、待てって‥!」

私はモトハルの制止を聞かずに目を開けた。するとモトハルと私の距離は1メートルも離れていない

「‥‥後ちょっとじゃん!」

「だから待てって言ったろ!」

「ガバッと来なさいよ!押し倒すくらいの勢いで!」

「な、なに変なこと言ってんだ!」

「確かにモトハルが恥ずかしがり屋なのもわかるけどさ!いや、まあ‥一週間前に比べたら凄い進歩だけど」


実はこんなやり取りは今日が初めてではない。一週間前からほぼ毎日、こうしてモトハルと一向に進まない関係について討論している


「こんなんじゃさ‥!」

「お、俺だって悪いと思ってるよ‥」

「こんなんじゃ、いつまで経っても××××出来ないよ!」

「!!?」

「××××はまだ我慢出来るけどさ!チューくらい頑張ろうよ!××××は別にまだしなくてもいいからっ!」

「大量に伏せ字使うな!」

「私たち、健全な高校生じゃん!」

「だ、だから今やろうとしてんだろ!大人しく目閉じてろよ!」

「30分も1時間も閉じてられるかああああ!!」


私も立ち上がり、モトハルをぶん殴ろうとした。でも‥私は忘れていた。

自分が正座をしていて、足が痺れていることを‥


「うぎゃ!!」

「お、おい、愛っ!」


モトハルはよろけて転びそうになった私の手を引いた、ら‥


「あだ!」

「うぐぇ!」


私は必然的にモトハルになだれ込んだ


「お、おま‥、」

「‥今回のことは正直すまんかった」

「怪我、ねぇか‥?」

「モトハルのおかげ‥で‥」


そこで気付いた。私は引っ張られるままモトハルになだれ込んだ。なので今私はモトハルの上に乗っかっている。

そして、モトハルの顔が超至近距離にあった


「あ、ご、ごめ‥っ!」

「‥愛」

「な‥なに‥?」

「‥‥‥」

「えっ、え?な、モトハ‥」


モトハルは慌てて離れようとする私の名前を呼んだ。モトハルを見ると、今まで見たことないような真剣な表情をしていて‥


「あ、あのさ‥!」

「‥‥‥‥」

「‥あ‥あの、」


モトハルの顔が段々、近付いてくる。それに比例して私の顔が赤みを増す。なんとかして話を逸らそうとするけどこの空気がとても甘くて‥


「‥‥愛‥、」

「〜〜っ!」

「‥‥‥‥‥‥」

「あ‥、」


モトハルと唇が重なる、と私は覚悟を決めて固く目をつぶった―‥

バンッ!!

「コラー!モトハルと愛ーー!!あんたらいつまで上にいる気!?ご飯だって何回言えばわかるん‥だ‥」

「16‥17‥」
「31、32、33‥」

「って、‥なにしてんのあんたたち」

「「ちょっと鍛えたくなって」」


後、1cm‥というところでミノ先輩が乱入してきた。私は忍者の如くモトハルの上から退いて腕立て伏せをし、モトハルは腹筋をしている

ミノ先輩は怪訝そうな顔をしたけど、1分以内に降りて来なかったら殺す!と言い残して下に降りていった


「‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥声、聞こえた‥?」

「‥‥全然、」

「あー‥焦ったね、」

「‥ああ、」

「1分以内に行かないと私たち死んじゃうみたいだよ」

「はあ‥仕方ねぇか‥姉ちゃん怒らせたらめちゃくちゃ怖いし」

「うん、そうだね」

「行こうぜ」


私とモトハルは立ち上がって顔を見合わせ、お互いに笑った。


「モトハル、」

「あ?」


私は先に部屋を出たモトハルの名前を呼び、精一杯背伸びをした。そして‥


チュッ


「な‥っ!?」

「さっきはミノ先輩が来て出来なかったから‥今回はほっぺだけど、」


モトハルは女の子みたいに頬を押さえて顔を真っ赤にしている。


「次はモトハルから口にキスしてね」


そういって私は未だ固まってるモトハルから顔を背け、赤らんだ頬を隠すように急いで下に降りた。


「〜〜っ‥反則だろ、クソ‥!」




「‥‥モトハル、愛、あんたら二人揃って顔真っ赤だけどどうしたの?」

「べ、別になんでもねぇよ!」
「なななんでもないです!」




∴( あとがき )

アンケ2位のモトハル夢です
初キス夢にするはずが
ほっぺにチューで終わりました
すいません、私の中での
モトハルはヘタレでして←

此処までお付き合いいただき、ありがとうございました!

(3/15)





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