なんて不毛な、それでも恋



「ねえ、ミツオ君。」

「なにー?」

「お腹空いたー」

「ふーん」

「‥ミーツーオーくーん」

「んー?」

「‥‥エロ本見ていいー?」

「いーよー」

「‥‥‥‥‥‥」


今、愛とミツオ君は背中合わせで座っている。


「へえ、なんだこれおもしれー」

「‥‥‥‥‥」

「指で切れんのか!すげえ、」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「げ、枯れたっ!?」

「‥‥‥‥」


愛は背中越しに携帯片手に騒いでるミツオ君に溜め息をついた。でもミツオ君は自らの手元に集中している為、なにも反応しない。


「‥ねえ、」

「あー」

「‥‥そんなに楽しいの、それ」

「めちゃくちゃ面白いぜ!」

「‥こんな時ばっか反応しやがって」

「なんか言ったー?」

「なんでもなーい」

「愛もやってみろよ、これ‥すんげぇ楽しいぞ。マジはまる」


「‥私‥スマホユーザーじゃない。」


愛は不機嫌そうな声でミツオ君に返事をした。先程からミツオ君を熱中させているのは大人気の某栽培キットアプリだ。

ミツオ君はスマホをゲットし、そしてこのアプリをDLしてからというものアプリに熱中して愛を構わないという現在の状況を作り出してしまっていた

いつまでも構ってもらえないこの状況に愛はとてもイライラしていた。


「‥ミツオ君のアホ、」

「だなー」

「バカバカ、彼女放ってゲームとか、そんなんだからミツオ君はいつまで経ってもミツオ君なんだよー」

「おー」


ゲームに熱中しているミツオ君の返事は間の抜けた‥明らかに聞き流しているような返事で、愛はとうとう膝を抱えて丸まってしまった。


「‥ぶぁーか、‥腹減った、」

「うん、そうかそうかー」

「‥‥‥‥」

「天使のなめこきたー」

「‥‥二つ折り携帯万歳、」


私は一生二つ折り携帯を愛する、とぼやいた愛の声は部屋の中で静かに響いた


「‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「ミツオ君、好きだバカー‥」

「バカは余計だよバーカ」

「‥‥バカじゃん。」

「ったく‥愛はバカだな」

「ミツオ君のアホ」


ミツオ君は携帯を置き、膝を抱えて丸まっている愛を後ろから抱きしめた


「悪かったって」

「やだね」

「俺も愛が好きだぜ。」

「‥許してあげなくも‥」

「なめこの次に、」

「‥‥‥‥空気読めよバカ‥」

「?‥え?なにが?」

「‥私もミツオ君が好きだよ、二つ折り携帯の次にね」

「構ってほしかったのか?」

「彼女を家に呼んどいてスマホ弄るとかワケわかんない。」

「悪かったよ」

「許さん」

「携帯に嫉妬するなよ、かわいいな」

「‥ちくしょう、ミツオ君のくせに。こうなったら某呟きに引きこもる。ミツオ君なんか知らない」

「あ、バカ。携帯弄んな」

「自分はさっきまで弄ってたくせに」

「もうやめたろ、今はダメ」

「‥‥‥ワガママ‥」

「今はしばらくこうしてたいんだ」

「‥気まぐれ、」

「そうだよ」

「‥‥なんで私、こんなのを好きになっちゃったんだろ。マジ見る目ない」

「そんなこと言っても、俺のこと好きなんだろ?素直じゃないな」

「誰のせいだ、誰の」

「俺だな」

「‥ミツオ君意外とめんどい。」

「愛が好きだから、つい。」


「‥アホ、‥‥好き。」



∴( あとがき )

アンケ3位のミツオ君です
せっかくなのでイケメンにしたかった
そしたらこんなミツオ君になった

ミツオ君とモトハルは僅差でしたね

管理人は二つ折り携帯です
某栽培キットアプリは特集で見ました
面白そうですね、あれ。

なにはともあれ、ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

お題お借りしました/確かに恋だった

(3/15)





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