外は快晴。いよいよ春が近付いてきたのか、もう気温も暖かい。暖房もいらないくらいだ

そしてこんなポカポカした陽気に気分のよくなった私は、あることを思い付いた

「春だねえ」

「春だな」

「小春日和ですねえ」

「それは違う」

「え?」

「小春日和は初冬の頃の暖かくて穏やかな天気のことだ。11月に相当する。だから今、使うのは適切じゃない」

「なるほど、わからん」

としゆきの豆知識を聞くが、陽気な思考の私には全くわからない豆知識だ。としゆきは溜息をつき、再び読んでいた本に視線を戻す

というか、私の思いつきを出鼻でくじくとはやりおる

「としゆき、お願いがあります」

「1500円だ」

「たっか!ていうか彼女から金巻き上げる気かコノヤロー!」

「用件はなんだ」

「こんなポカポカした日だと、人肌が恋しくなりますね」

「知らん」

「なので、」

「‥‥‥‥‥」

「イチャイチャしましょう」

横にいるとしゆきを見て、そういった

普段のとしゆきなら此処でお前はキモいなとか言って的確に私のキモいとこを指摘して口喧嘩が勃発する

別に喧嘩とかしたい訳じゃないけど、横に彼女がいるのにも関わらず読書に励むとしゆきに少しでも構ってほしくて、

私はわざととしゆきを煽る。

「ねえねえ、イチャイチャしよーよー
今時のティーンエイジャーは見てるこっちが恥ずかしいくらいイチャイチャしてるよー」

「‥‥‥‥‥‥‥」

パタリととしゆきが本を閉じた。計画通り‥!と私が勝利を確信した時、

「いいぞ」

「は」

思わず間抜けな声が出た。
いや、ちょ、待っておくれよお前さん

「なにをする?」

「へ‥な、なに言って‥」

「イチャイチャするんだろう?」

としゆきが私を見る。帽子の下のとしゆきの目と私の目が合ってなんか凄く恥ずかしい

「なにをしてほしいんだ?」

「じょ、冗談やめてよ、どうしたとしゆき」

「それはこっちのセリフだ。お前から言い出したくせに」

「う、う‥ウソだ!誰だお前!本物のとしゆきはそんなこと言ったりしないぞ偽者野郎!」

「どこか頭打ったのかお前」

としゆきは私に近寄るが、私はとしゆきを避ける。

どうしてこうなった

私はただ、構ってほしくて、構ってもらうには口喧嘩が一番手っ取り早いと思って、

頭の中が混乱する

「ちょ、タンマ!なんで?」

「なにがだ?」

「い、いつものとしゆきなら私にキモいとか吐き捨てるじゃん!そんで口喧嘩してたじゃん!なのに急にデレやがって、このツンデレが!私はツンには耐性あるけどデレの耐性はないんだよ!」

「‥‥‥‥」

としゆきの顔が近付いてきたから咄嗟にベッドの枕を掴み、私ととしゆきの間に挟む。

「‥‥おい、‥」

「こんなん超展開だよ!自分から仕掛けといてなんだけど!普段は北極くらい冷たいくせに!」

「‥‥‥いつもお前に、」

ガシッと枕が掴まれ、放り投げられる

「うわっ!」

「素直に構ってやれないから、」

いつの間に取ったのか、いつも被っているとしゆきの帽子がない。

「だから、愛が言ってきた時‥ちょうどいいって思ったんだよ」

私の額ととしゆきの額がくっついた。
めちゃくちゃとしゆきが近い

「いつも憎まれ口しか言えねぇから」

「!‥わ、私は‥愛ある憎まれ口だってわかってるけど、」

「ああ‥でも、やっぱり‥たまにはこうして素直に言ってやりたいんだよ」

「う、うわ‥なにこのイケメン」

「‥茶化すな。俺が素直になれないのもこうやってお前が茶化すからだぞ」

「責任転嫁いくない」

「うるさい」

顔が真っ赤な私と、珍しく優しく微笑むとしゆき。

なんだか思ってたのと違うけど、構ってもらえたからか、珍しくとしゆきが優しくしてくれたからか、まんざらでもないと思ってしまった

「‥いつもこのくらいデレてくれたらもっとイチャイチャ出来るのに、」

「悪かったな、デレなくて」

としゆきに腕を引かれ、としゆきの腕の中におさまる

「‥‥としゆき、」

「なんだ」

「好きだよ」

「‥知ってる、」

「言ってほしいんだけど」

「‥‥俺も、お前のこと好きだから」

「うん、知ってる」

「‥‥‥‥」

「たまにはイチャイチャしようね」

「‥‥‥気が向いたらな、」


反則も悪くないなと思いました
だって、こんなにもしあわせ




甘く出来たかな‥?
唐沢さんをデレさせたかった!
そろそろ春が恋しいです

(02/26)

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