今日はバレンタインデー。
女子が好きな男子に想いをこめたチョコを送る日‥のはずだ。うん、多分そうだ

なのに、何故、俺は‥

「モトハルー!まだー!?」

「‥もう出来るよ」

チョコケーキを作っているのだろう

冷ましたケーキを型から外し、皿に移す。そして座って待っている彼女の前に出した

「おお!待ってました!」

「美味いかどうかわかんないけど」

「んなのいいって!それでは早速いっただきまーす」

そういって彼女は満面の笑みでケーキを食べる。

「美味しーい!さすがモトハル」

「そう?」

「料理も出来て、さらにお菓子作りも出来るなんてどんだけハイスペックなんだよー!私がモトハルの胃袋掴む筈が逆にモトハルが私の胃袋掴んでんじゃん!」

「いや、知らないけど」

「マジで家政婦として雇いたいわ」

「いやだよ」

「でも、ほんとに美味しーい」

フォークを動かす手が止まらないあたり、本当に美味しいと思っていてくれてるのだろう。作った身としては有り難いが彼氏としてはやはりどこか腑に落ちないものがある

俺だって男子高校生だ。
彼女からチョコをもらえるのを期待するのはおかしくないはず

だが、愛は俺にチョコを渡す素振りも見せない。

「うん!美味しかった!」

「そ、そう」

「ごちそうさま!」

愛は笑顔でケーキを平らげた
そして自分のバックを持つ。

(え?帰んの?もしかして俺にケーキ作らせるためだけに来たのか?)

内心、とてもショックを受けた。自分が本当に愛の彼氏なのかと疑ってしまう

「よし!それじゃあ、」

愛は立ち上がり、モトハルの心境など知らずに真正面に立った

「私はモトハルからバレンタインのチョコをもらったよね?」

「ああ‥今のがカウントに入るならそうだと思う」

「安心してモトハル。等価交換よ」

「急になに言い出すんだお前」

「私はモトハルから素敵なチョコをいただきました!なのに私がなにも返さないのはとても失礼!というワケで私からのお返し!」

「は?」

「どうぞっ!」

愛は自分のバッグから綺麗にラッピングされた小さな袋を取り出し、モトハルに差し出した

「ハッピーバレンタイン!」

「!!」

「これで等価交換成立!」

モトハルは愛からチョコを受け取った。

「あ、ありがとな‥」

「いえいえ!もうもらったからホワイトデーは気にしないでね」

「ああ」

「モトハル、こんな私ですが、これからもよろしくお願いします」

「こちらこそ」

やっぱり、愛が俺の彼女でよかった。今なら素直にそう思える


「いやー‥実はいつ渡そうか迷ってたんだよね。結局、こんな感じになっちゃったけどさ‥でも、こうでもしなきゃ恥ずかしくて渡せなかったんだ。ごめんね、わざわざ作らせて」


眉尻を下げ、申し訳なさそうに話す愛を見て‥愛を疑った自分が情けなく思えた



やっぱりキミが好き
(疑う必要すらなかったのに)

その後、モトハルは自分の情けなさから学校を3日休んだ―‥





(あとがき)
オチがとても酷いですね
そして原作を知っている方なら
お気づきになられたでしょう

バレンタイン企画第四弾です
一日遅れましたすみません

メンタル弱いモトハル可愛いです

(02/15)


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