自分で言ってなんだが‥
今日の俺は一味違う。

朝、早起きして髪のセットにいつもの倍の時間を掛けて‥カッコイイ表情の練習もして、滅多に着けないネクタイなんかも締めちゃったりして俺は家を出た。

さあ、俺の準備は出来ている‥!
いつでもいいぞっ!!


「なにしてんの、アンタ」

「‥なんでもねぇよ」


そんな俺の気合いをへし折る冷めた声が横から突き刺さる。声の主は隣の家の愛。今日の俺のターゲットはコイツだ

「まーたバカなことでも考えてたんでしょ?ほんと、アンタってそういうとこ昔から変わらないわよね‥」

「う、うるせーな!」

「ていうか気合い入れてんの丸分かり。もう少し隠せば?」

「‥‥‥‥‥」

開口するなり、男子の努力を次々とへし折る発言をする愛に腹が立ったが、ここは我慢だ。

今日の俺は違う。
包容力を見せるんだ俺

「そうか、次からは気をつけるよ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

どうだ?すぐに怒らない俺‥カッコイイだろ。これでお前も俺にある物を渡したくなっただろう?


「キモい」


ピシッと俺の心にヒビが入った。し‥しかし、まだ想定内だ!

俺の本気はここからだ!

「そういえば、お前‥最近どう?まだ寒いから体調とか気をつけろよ」

さりげなく女子の体調を気遣う‥これぞモテる男!これでちったぁ、いつも純情な男子高校生を小ばかにするお前も俺を見直すだろ!

「‥‥あんた、誰?」

「マルコビッチっす!‥って、違ぇよ!やらすな!原作読んでねえ人にわかんないネタやんなよ!」

「あんたが勝手にやったんでしょ。それに後、何週か待てばアニメでやるわよ」

「そういう問題じゃねえ!」

「はいはい、マルコビッチさん。早くしなきゃ遅刻するわよ」

そんな感じで適当にあしらわれ、ターゲットから目的の物をゲットすることは敵わなかった

(クッソー!俺は今年こそあいつからチョコを貰うって決めてんだ!なにがなんでも手に入れる!)

俺は自分の右手を握りしめた。

「まだ午前だ!焦るな、俺‥!まだ昼も夜もある!」

「昇降口でなにやってんだお前」



「愛!これからヤナギン達と合流するけど来ない?」

「え?どうしようかな‥」

「あっ‥なんだよ。このクソアバズレ!彼氏迎えに来てんじゃーん!」

「はあ?彼氏?」

「待ち侘びたぞ、愛」

「あんた、誰?」

「隊長だ」

「うるさいよ。原作ネタやめなさい。ていうか東高になにしに来たの」

「帰ろうぜ」

「あ、ちょっと!‥ごめん、生島。私、帰るわ」

「うん。じゃあねー!」



「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

ヨシタケと愛は並んで家路についていた。二人の間に会話はない

「‥あ、ヨシタケ。」

「な、なに?」

愛は自分のバッグからなにかを探しているようだ。ヨシタケはそれに期待を膨らます

「あったあった。コレなんだけど‥バレンタインのチョコ」

「!‥そ、それがなんだよ」

(うおおおお、マジできたああああっ!)


「お姉さんに渡しといて」

「姉さんかよ!!」

「学校で渡せなかったから」

「‥けっ、わかったよ」

「助かるわ」

「‥‥‥‥‥‥」

期待した分だけ、ショックは大きい。しかも姉のチョコだけ、今年も自分にはなにもないのか‥

「着いたね、じゃあまた明日」

「‥ああ、またな」

「ヨシタケ」

「あ?」

「張り切ってるみたいだからあげる」

「は‥っ!?」

「いらないの?」

「いる、サンキュ」

ヨシタケは冷静を装い、愛からチョコを受け取った。

「‥意外、もっと喜ぶかと思ってた」

「別に」

「ふうん」

「今年ももらえねェかと諦めてたわ」

「‥私だっていい加減、素直にならなきゃ呆れられると思ったからね」

「は?」

「‥ハッピーバレンタイン、ヨシタケ」

愛はチョコをヨシタケの顔に押し付け、家の中に入った。ヨシタケはチョコを押し付けられた際に愛の赤くなった顔を見逃さなかった

「‥‥‥フッ、」

ヨシタケはチョコを見て軽く微笑み‥

(やったあああああ!!マジかああ!夢じゃないよなコレ!本物のチョコだ!)

ヨシタケは外にいるにも関わらず高らかとガッツポーズをした。

(苦節10年!とうとうあいつから本命チョコを‥!)

そして貰ったチョコを開けた‥が、

「‥‥‥‥‥‥‥」

中に入っていたのは形が崩れ、見るも無残なチョコだった‥

「‥‥え‥?失敗作詰めただけ‥?」



見た目はあれでも
(愛はあります)

「でも、美味いからいっか‥」





(あとがき)

バレンタインヨシタケ夢です
第三弾です^^
大丈夫!両思いですよ!
とりあえずヨシタケは
こんな感じにしたかったんです

(02/14)
修正(03/07)


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