「船長、今日は何の日でしょう」

「さあな」

「バレンタインデーです。世の中の恋する乙女達の決戦の日です」

「そうか、海の上にいるおれたちには無縁だな」

「こっち向いてください、あなたの花が此処にいますよ」

「花?雑草しか見えねェが」

「終いには泣きますよ?‥普段の私なら此処で泣きながら退場しますが今日の私は違います」

「ベポが起きる。余所でやれ」

「船長の中でのベポと私への愛の差がよーくわかりました。熊に負けたよ」

「本題に入れ」

「私をあげます」

「返品する」

「返品不可です、私のハートを盗んだので返品は受け付けられません」

「仕方ねェ‥粗大ゴミか、」

「ゴミ扱いしても許されるのがイケメンなんですね」


愛は自分の背後から巨大な物体出し、ローの前に置いた。


「ハッピーバレンタイン船長!バレンタインなので1/1スケールの私をプレゼントします!」


巨大な物体はセクシーポーズをしている愛の形をしたチョコだった。


「゙ROOM゙」

「あああぁあああっ!1/1スケール私が斬られたあああ!なんてことするんですか船長ーーっ!」

「このポーズが気に障る」

「そんな理由で斬らないでくださいよ!もしコレが本物の私だったらどうしてたんですか!」

「斬る」

「わかってたよ!」


愛は泣きながらバラバラになったチョコをかき集めた


「死んじゃ駄目だ私ー!船長に食べられて船長と一つになるという私のラフテルは目の前だぞー!」

「斬っといてよかったな」


最早、原形を留めていないチョコを見て愛は肩を落とした。

「こんなモン作るヒマあったら腕磨け」

「料理の腕は磨きました‥」

「お、これチョコ?」
「見事にバラバラだな‥」

そこにシャチとペンギンが現れた。チョコを物色している

「なあ、これ、食っていい?」

「食いたきゃ食えよ!こんなんもう1/1スケールの私でもなんでもないただの哀れな敗北者のチョコレートもどきじゃんかああっ」

愛は泣き叫びながら船内へと姿を消した。

「‥‥なんだ?アイツ、」
「さあ?食っていいらしいから食っちまおうぜ」

「あ、船長もどうっすか?」

「‥‥‥顔は残しとけ」

「顔?うわっ、よく見りゃコレ、人間の形してんじゃん!怖っ!」

「新手のホラーか?」

「あのアホがまたバカをした」

「ああ‥なるほど、まあ‥うちでそんなことするの愛しかいないっすもんね」



愛は自室のベッドで俯せになって寝転がっていた。

やはり受け取ってもらえなかった。確かにふざけてはいたものの、あの自分の形をしたチョコを作るのに何日もかけた

だからそれなりにショックだ。

「‥さよなら、1/1スケール私」

船長に届きはしなかったけどシャチとペンギンには届いたよ。全くどうでもいい相手だけど

「‥‥ちぇ、嫌いなら嫌いってハッキリ言っちゃえばいいのに」

毎回、アタックしてはかわされる。私はいつも船長に好きと言うけれど、船長は私に好きとも嫌いとも言ったことがない

「‥スッパリ振ってくれれば諦めもつくんだけどなぁ‥」

私がこう呟いた瞬間、ドアが蹴り開けられた。

「うぎゃ!?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

私の部屋に入ってきたのは船長。なんだか顔色が悪い気がしなくもない(いっつも悪いけど今はいつもの三倍は酷い)

「ど、どうしたんですか!ハッ、夜這い!?やだな、船長。まだ昼間ですよ〜」

船長は私のおちゃらけた発言に返事をせず、私のいるベッドに腰掛けた

「おい」

「きゃー!まだ心の準備がー!」

「甘え、」

「‥‥‥はい?」

「それに多い、量が」

「はあ‥なんの話です?」

「おれを胸やけで殺す気か」

「え、」

「‥‥‥‥‥‥」

「‥‥食べてくれたんですか?」

「おかげで酷い胸やけだ」

「!‥わあああん!船長、突き放すだけ突き放して離れたら突然甘やかすなんて上級者だよおお!やっぱり大好きですううう船長めっちゃイケメンンンン!」

「うるせェ」



等身大の愛をあなたに
(たまには甘やかしてね、)






(あとがき)

バレンタインローさんです
企画第二弾です
わかりにくいですね(´・ω・`)

ローさん食べてくれました
というかコレ両思い?
両思いであってほしいです←

(02/14)
修正(03/07)


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