キミが起きるまで




今日はとってもいい天気。
なので私は甲板で白熊のベポと
ひなたぼっこをしていた

ポカポカとした陽気が眠気を誘う
ベポは既に夢の世界へ旅立っている。

「‥‥ねむ、」

私は目を閉じた。その時‥

「邪魔だ」

聞き慣れた低い声が聞こえたと
思ったら、いきなり蹴られた
ゴロゴロと私の体が転がる

「そぉい!!」

「座れねェだろ。気が利かない女だ」

仕方なく目を開けた。
ベポに寄り掛かって座る我等が船長

「‥‥ありがとうございます」

「ハッ、蹴られて礼か」

「眠気がさめました。船長の容赦ない蹴りのおかげで」

「感謝しろ」

嫌味が通じないからムッとする
でもこの人に口喧嘩では
勝てないと経験でわかってるので
私は大人しく目を閉じる。

「甲板の真ん中を陣取るな、邪魔だ」

「‥‥‥‥船長が蹴り飛ばさなきゃ、こんなとこ来てません」

「口答えすんな」

「どうしろと」

「‥こっち来い、」

「なんで寝るのだけでこんな苦労を」

「早くしろ」

今度は自ら転がり、船長とベポがいる端に来た

「‥‥‥おい、」

「はい」

「こっちに来いとは言ったが‥膝に乗れとは言ってねェぞ」

「がら空きだったんで」

私は転がった後、胡座をかいてる船長の膝の上に頭を乗せた。私からのささやかな復讐だ

それと、ほんの少しのアピール。

「‥気を楽にしろ」

「あ、体重掛けていいんですか?ありがとうございます。ちょっと力入れてたんで助かります」

「‥‥‥チッ、」

「おやすみなさい、船長」

今度こそ邪魔なく寝られる。
私はそのまま眠りに落ちた―‥



「‥‥‥んが、」

「‥やっと起きたか」

私は寒さから目を覚ました。
すると額に青筋を浮かべた船長が見えた

「‥‥‥‥よお、いつまで寝てんだ」

「‥おはようございます」

青かった空も今ではオレンジ掛かっている、ので私は相当寝たのだろう

「ごめんなさい」

「そう思うなら退け」

「熟睡出来ました。船長の膝って寝心地いいんですね、グッジョブ!蹴られたことは今回の膝枕で無しにしましょう」

「もう一度蹴られてェのか」

「遠慮します」

「いいから退け、」

船長は私が乗っているにも
関わらず立ち上がった。
私はそのまま甲板の床に頭をぶつけた

「ぐふっ」

「自業自得だな」

船長はそのまま船の中に入った。
私は未だ眠るベポの隣に横たわって船長の後ろ姿を見ていた

「‥‥ほんとにイヤなら叩き起こせばよかったのに、」

ボソッと呟いた声は波の音に消された



キミが起きるまで
(動かないでいてくれたんですね)


「船長?足元ふらついてますけど」
「‥どっかの寝ぼすけ女が陣取ってたせいでな、」


‐‐‐‐‐‐
足痺れると辛いですよね
ずっと乗ってると痺れます
船長頑張りました

誰か褒めてあげてください

(02/18)






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