帰り道はゆっくりと
「珍しい物がいっぱいあるね」
「そうだな」
今日、私は恋人のキラーと付き合って初めてのデートをしている。誘ってくれたのはキラーで私達は買い物デートをしてる最中だ
船内とは違う環境に、私は先程から緊張していた。
「こ、このピアスかわいいね!‥まあ、私、ピアス開いてないけど」
「開けたいのか?」
「でも、毎日消毒しなくちゃいけないんでしょう?そう考えるとちょっとめんどくさいなあ‥」
「ならやめておけ、化膿でもしたら大変だぞ」
「そ、そうだね!私はネックレスとかで我慢しとくよ!」
私の小物などの感想に、キラーはちゃんと返してくれる。それがとても嬉しかった
男の人って女の買い物に付き合うのは嫌いと前、本で見ていたから内心、とても不安だった。でもキラーは嫌な顔せず(見えないけど)付き合ってくれてる
「き‥キラーはネックレスとかアクセサリーは着けないの?」
「おれはいい。邪魔になる」
「‥だ、だよねぇ!戦闘中、邪魔にしかならないもんね」
キラーに贈り物をする時にはアクセサリーは止めようと私は心から誓った
「あ、これ‥」
私はチューリップのネックレスを見付けた。途端に自分の船の船長を思い出す。船長に言ったら私は多分、リペルを食らうだろう
「‥‥キッドみたいだな」
横からキラーがポツリと呟く。
「ふふっ‥今、まさに私もそう思ってたんだ。船長みたいって」
船にいる時はいつも周りに皆がいるから騒がしいけど、こうして2人でのんびりと買い物をするのも悪くない。とても温かい気持ちになれる
「なにか記念にネックレスとか1つ買っちゃおうかな。この星のネックレス、かわいいし」
「ほしいのか?」
「うん」
「なら、おれが買おう」
「い、いいよ!私、別にそんなつもりで言ったワケじゃないし‥」
「おれがウミに贈りたいんだ」
「え‥ええと‥、」
「こういう時は素直に甘えとけ」
「‥う、うん。ありがと‥」
キラーは私の手から星のネックレスを取り、会計に向かう。ドキドキしながらその後ろ姿を見る‥が、私はあることに気がついた
(!‥女の子の扱いが上手い‥!)
先程のネックレスや、買い物の付き合い方など上級者な気がする。いや、私自身、それほど人と付き合ったことがないので比較していいかわからないけど
「待たせたな。行こう」
「あ、ありがとう」
やはり一度気になったらどうしても気になってしまうもので、
扉を開けてくれるとこや、歩幅を合わせてくれるとこなど気になってしまう
そりゃあ、キラーだって大人なんだから色んな人と付き合っててもおかしくはないけれど‥なんかモヤモヤしてしまう
「‥‥ウミ?」
「え!?な、なにっ?」
「もう暗くなってきた。そろそろ船に戻らないか?」
「そ、そうだね」
私達は船へと歩き出した。でも私の心中は穏やかではない
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
すると、急に手が温かいものに包まれた。私は驚いて自分の右手を見る。私の手を握っていたのはキラーだった
「‥‥嫌だったか?」
「ええ!?そ、そんなワケないよ!」
驚いた私はキラーを見上げた。キラーは不安げな声で私に確認する
「そうか‥」
キラーと手を繋ぐなんて初めてで、顔に血が上る。恥ずかしくてキラーの顔が見れない
(あああ、恥ずかしい!ていうかめっちゃ手汗かいてる!ヤバい!手離したいけど離したくないいい)
私が一人で葛藤していると、あることに気が付いた
(あれ?キラーの手も‥手汗かいてる。それに熱いし‥もしかして、キラーも緊張してるの‥?)
マスクを被っているからキラーの表情はわからない。でもその手から伝わる熱などでなんとなくキラーも緊張してたんだとわかった
「ふふっ‥はは、」
「どうした?急に笑い出して」
「ううん!私だけじゃなかったんだなあって!」
「なんのことだ?」
「キラーの手があったかいってこと」
「よくわからんが‥お前が楽しいのならそれでいい」
「後でネックレス、着けてくれる?」
「ああ、船に戻ったらな」
帰り道はゆっくりと
(もう少し、このままで)
‐‐‐‐‐‐
キラー甘夢ですが甘いかな‥
手慣れた人って不安になりますよね
キラーさんは内心とても焦ってます頑張ってエスコートしてますよ
私は街中でカップルが手を繋いでるのを見ると手汗気にならないのかな、と疑問に思います
私はキラーさんを一体
どうしたいんでしょうね
(02/12)