横暴飼い主と我が儘ペット




「ローのバーカ!」

「おれがバカならお前は最上級のバカだな。んなモン、おれには関係ねェ」

船長室には先程から言い争う声が外にも響いていた。

「あの女の人、ローのこと狙ってた!そんでローもまんざらでもなさそうだった!」

「知るか、うるせーぞペット」

「ペットじゃないし!彼女だし!」

「似たようなモンだろ」

「違う!どうせその人と浮気するんでしょ!?」

「しねェよ。被害妄想女が」

「前科があるから怒ってんの!」

「あ?いつだ、言ってみろ。仕方ねェから聞いてやる」

「この前、島に上陸した時に綺麗なダイナマイトボディのお姉さんと腕組んで歩いてたじゃん!私は寝ないでローの帰りを待ってたのに!」

「あの女が勝手にくっついて来ただけだ。勘違いすんな」

「‥‥もういいよ!どうせ私が貧乳まな板寸胴女です!ダイナマイトボディのお姉さんと仲良くしてれば!?」

「‥ああ、そうだな」

「!‥‥私だってローよりカッコイイイケメンお兄さん引き連れてハーレム作ってよろしくするんだから!」

「お前みたいな貧乳まな板寸胴女じゃ無理だな」

鼻で笑うローをキッと睨み、ウミはそのまま船を飛び出した

「‥ったく、あのバカ女‥」




(ローのバカ!浮気性!こうなったらローも私と同じ気持ちを味わえばいいわ!私だって本気出せば男の一人や二人、出来んのよ!)

私は街にいる男を見ながら、誰に声を掛けるか選んでいた

(ローより格好良くなきゃ意味がない!ローより格好良くて優しくて浮気しなさそうな人‥)

「‥‥‥って、いねえし!!なんでローよりカッコイイ人がいないの!」

ウミは走り出した。

(結構広い島なんだから探せば絶対にローよりイケメンがいる!)



「‥‥‥‥‥はぁ、はぁ‥」

島中を走り回ったが、私の探し求めていたイケメンは見付からなかった。こんなんじゃ、ローにぎゃふんと言わせられない

気付けば私は森の中に入っていた

「こんだけ広いのに、なんでローよりイケメンがいないんじゃボケー!!」

悔しくてそこらにある木を蹴った。その瞬間、バランスを崩した私の耳にグキッと嫌な音が響いて私は地に倒れた―‥


「‥‥‥‥いたい、」

足を見れば真っ赤に腫れ上がった足首
痛みがどんどん増していく

しばらく歩けそうにない、仕方なく近くの木の幹に座り込んだ

「‥‥‥‥‥‥‥」

もう空は暗くなり始めていて、風も冷たくなっていた。ウミは膝を抱え、頭を伏せた。そして自分の恋人を思い出す

「‥‥‥ロー‥」

ローと喧嘩をしたこと、足首の痛みで私の視界が涙で滲んだ


「‥‥‥‥こんなとこにいたのか」

気怠そうな声が上から降ってきた。ウミは頭を上げる。そこにはいつもと変わらない‥刀を肩に掛けるローがいた

「‥道に迷った」

「そうか。で?ハーレムはどうした。ハーレム作ってよろしくするんじゃなかったのか?見当たらねェが」

「‥スタッフが美味しく頂きました」

「本当にお前はバカだな、おれより格好良い奴なんているワケないだろ」

「はいはいナルシストナルシスト」

「ハウス、マイペット」

「ペットじゃないので帰りません」

「‥ペットが勝手に飼い主の元を離れんじゃねェよ」

「!」

「とっとと帰んぞ」

「‥‥ヤダ、」

「お前‥」

言葉を言いかけてローはウミの足首の怪我に気付いた。真っ赤に腫れ上がった足首では歩けないだろう

「‥‥チッ‥おい、持て」

ローは持っていた刀をウミに押し付け、背中を向けた。ウミは不思議そうにローを見る

「‥なにやってんだ。早く乗れ」

「!‥重いよ」

「軽いだろ、肉あるべきとこに肉がねェんだから」

ウミはタックルするようにローの背中へとおぶさった

「ぐっ」

「ざまーみろー」

「てめぇ‥帰ったら覚えてろ」

ローはウミを背負い、歩き出した。ウミは大人しくローの背中に身を預けている

「‥‥本当に胸がねェな、」

「まな板だもん」

「背中に当たらねェ」

「極薄サイズだからね」

「おい、被害妄想女」

「なんだナルシスト野郎」

「おれは貧乳のほうが好みだ」

「は、」

「育てがいがある」

「変態沈めばいいのに」

「だからでけェ胸は興味ねえ、勘違いすんな。いいな?」

「‥‥ごめん」

「わかればいい。もう勝手に飼い主のおれの傍から離れんなよ。」



横暴飼い主と我が儘ペット
(ペットは黙っておれの隣にいろ)



―後日談―

「な、知ってるか?昨日、船長がお前迎えにいく時に刀持ってたのはお前が男といたらそいつを斬る為だったんだぜ!」

「え?そうだったの?」

「余計なことを言うなシャチ。まあ‥結局、刀を抜く手間もなかったがな」

「男捕まえられなくて悪かったわね!」


‐‐‐‐‐‐
なんかすみませんでした
本当土下座しますorz
伝わったかな?書きたいこと書いたら怪文書になっちゃったよ

萌えていただけたら幸いなんですが‥申し訳ない精進します

(02/11)






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