犯した罪と償いの現在
(!)学パロ
「ねえ、キッド。どうして人は過ちを犯すのかしら」
秋の心地好い風を受けながら、屋上でイチゴジャムパンをかじるウミは、隣でピーナッツバターパンを食べるキッドに問い掛ける。
その様子をチョコチップパンを食べるキラーは静かに二人を見ていた。
「そりゃあ‥わかってても尚、犯さずにはいられねェ時があるからだろ」
「今、思うと後悔しかない‥でも、」
「それ以上言うんじゃねェ!‥自分を無駄に傷付けるだけだ。」
「‥‥‥‥‥」
下の教室からは騒がしい声が響く。だが、屋上だけはそんな騒がしい空気とは程遠く、シリアスな雰囲気だけが漂っている。
「‥‥でも、言わずにはいられない」
「そうか‥なら、思う存分‥言ってみろよ。おれはウミがどんな罪を犯していようと受け止める」
「‥‥‥‥‥」
「私の犯した罪‥それは、」
キッドはピーナッツバターパンを食べる手を止め、真剣にウミを見る。一方、キラーは5本目のチョコチップパンに手を伸ばし、残りの本数を確認している。
ウミは胸に手を当てながら重たい口をゆっくりと開いた―‥
「中学の時、授業中に教室で‥自分の考えたオリジナルRPGのキャラの設定を書いてニヤニヤ浸ってたら先生に見付かってクラスのみんなに晒されたの‥」
「‥安心しろ、それはお前のせいじゃない。確かに浸って油断したお前も悪いが一番の罪人は先生だ。そう考えろ」
「でも‥!同情したクラスメイトが当時、私の考えた最高にカッコイイ横文字の名前のキャラ‥アルテミス・シュナウザーを『‥‥アルテミス‥シュナウザー‥カッコよかったよ‥』って言った時のあの目が‥!」
あまりの恥ずかしさにウミは両手で顔を覆う。両手で顔を覆ったため、持っていたイチゴジャムパンを落とした
「‥‥まじで過去に戻ってオリジナルRPGを作ってた自分を殴りたい‥!」
「‥違いない。」
「‥‥今だから言えるんだが、おれも‥中学ん時、自転車の乗り方に無駄なアクション入れてた‥無駄に両手離したり」
「キッド‥わかる、二人乗りとかしてたら後ろに乗ってる人がペダル漕ぐとかやってた‥」
「‥違いない。」
二人は自分の昔の過ちを懺悔し、そして必死に頭を打ち付けている。
「因数分解が何の役に立つんだよとかイキがってた自分‥やめなさい」
「無駄に大人は汚ェ、とかな‥」
「‥‥‥‥‥‥」
床や壁に頭を打ち付けていた二人は空を見上げた。その表情は先程の暗い表情と違い、決意を固めた顔をしている。
「でも、私はあの時の過ちをもう犯さない‥両親にも親孝行する。」
「今まで罪を犯してた分、これからは償いをしてかなきゃな。」
「‥‥‥‥‥‥‥」
そう互いに決意を固めた後、ウミとキッドは強く握手をし合った。
「でも‥唯一の救いは、」
「邪気眼は発症してなかったことだな。あれを発症してたらおれの人生は終わってた」
「ええ。超能力系はその時から信じてなかったから‥よかった、急いでおれから離れろ!とか言い出してなくて。邪気眼使いになってたらと思うと‥背筋が凍るもの」
「第三の眼は腕にあるやつだろ?邪気眼を人目から隠すために腕に放題を巻いてるやつ、」
「‥‥‥‥‥‥」
笑いながら、二人は邪気眼のことについて話す。その時になってキラーは7本目のチョコチップパンを食べる手を止めた
そして、なにか居心地が悪そうに持っていた紙パックの飲むヨーグルトを勢いよく飲む
『ぐああ!うっ‥お、お前ら、急いでおれから離れるんだ‥!早くしないと、おれの邪気眼が‥!』
蘇る中学生の時の自分。左手に包帯を巻き、空いてる右手で苦しみながら左手を抑えていた中学生のおれ。
「‥‥‥‥っ、‥」
あまりの自己嫌悪に頭を抱えたキラーに二人は声を掛ける。
「あ?どうした?キラー」
「顔色悪いよ?具合でも悪い?」
「い、いや‥なんでもない、」
「キラーもねェのか?」
「バカね、キラーに限ってそんなことある訳ないじゃない。まして邪気眼使いとか有り得ないって!」
「ま、そりゃそうだ。邪気眼使いなキラーなんて想像も出来ねェよ」
二人の無邪気な笑顔にキラーの口元が引き攣る。
「‥‥‥ち‥違いない、」
犯した罪と償いの現在
(もうなにも言わないでくれ)
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黒歴史掘り起こされると辛い
(4/10)