マスクめろん


 

「見て見て、このメロン!」

「ああ‥またウミの無駄遣いか‥ていうかなんでメロン?」

「ちゃんと私のお小遣で買ったよ!美味しそうでしょ?高かったんだから」


ウミの手にはそれはそれは美味しそうな高級感漂うメロンが抱きしめられてる。キッドは呆れながらウミを見た


「あげないよ!」

「欲しいなんて言ってねぇよ」

「よし、早速食べる。」


そういってウミはナイフを取り出して下の部分を切り取り、そしてそこからメロンを食べ始めた


「‥なんつー食い方してんだ」

「激ウマ!知らないの、頭?巷ではメロンは下から食べるっていうのが流行ってるんだよ」

「お前の脳内で、だろ。」

「種あげる」

「いらねえよバカ」


差し出された種を払いのけ、メロンを奇妙な食べ方で食べるウミを観察しながら、キッドはウミが次はどんなバカなことをするのか待っていた


「ごちそうさまでした」

「‥見事に緑の部分食ってやがる」

「私は食べられる部分まで食べます」


キッドはメロンを覗き込む。中はメロンの緑の部分がなくなっており、綺麗に白い部分だけが残されていた


「んで、次はなにすんだ?」

「よくぞ聞いてくれましたっ!」

「‥‥‥‥」

「目をかっぽじってとくと見よ!実を失って尚、輝き続けるこの姿を!」


下の部分を失ったいびつなメロンの皮をウミは大事そうに掲げた。


「‥‥それで?」

「そしてこのメロンの皮を〜‥」


カポッ


「被る!!」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「へーんしん!ウミからキラー!」

「‥‥‥本当にお前はバカだな」

「違いない」


メロンの皮を被ったウミはキラーの台詞を言う。キッドはそれに感心した


「さすがおれのクルーだ、こいつはおれの想像の遥か上をいくバカだ。」

「じゃ、ちょっくらキラーさんとこ行ってきますわ」

「殺されるなよ」


ドアノブに手をかけたメロンの皮を被った奇妙な物体が振り返り、キッドに向かって親指を立てる。


「‥‥はいはい、シュールシュール」




「さてどうやって登場しよう」


廊下を歩きながらウミは考えていた。その間に廊下を通る船員たちは決まって二度見しながら早足でウミの横を通り過ぎる。


「マスクだけじゃなあ‥もうちょっとキラーさんらしくなきゃ‥」


そして食堂が目に入るウミ。それからなにかを思い付いたように厨房へと入っていった



「ふはははっ‥完璧!キラーさんにも程があるよ!」

「なんの話だ?」

「あ、キラーさん。」

「‥‥‥‥」


キラーは奇妙な物体が食堂にいるという船員からの報告を受けて食堂に来た。すると、厨房に首から上がメロンで首から下が女の奇妙な物体がいた。

だが、声はウミ。そして両手には手羽先が握られていた


「‥‥‥‥‥‥」

「やあ、キラーさん。どう?」

「‥‥なんのつもりだ?」

「キラーさんごっこ」

「‥なるほど。メロンの皮を被ったのはおれのマスクのつもりで、その両手にある手羽先はおれの武器のつもり、か。」

「その通り!」

「‥‥‥ヒマだな、お前も。」

「あ、手羽先食べる?焼きたて」

「いらん。」

「私は食べるけどね」


ベチャッとマスクに手羽先が当たる。そしてしばらく沈黙が続いた


「‥‥‥‥‥‥」

「‥‥食べれない、」

「マスク着けてるからな。」

「不便」

「外せ」

「違いない。」

「そもそもメロンの皮を被って顔がべたつかないのか?」

「ふふふ‥よくぞ気付いた。」


マスクを被った男とメロンの皮を被った変な女の会話は端から見ればかなり不思議で不気味な光景だ。


「安心して、キラーさん。もう既にベッタベタだから!」

「誇れることじゃない。おれに言えばスペアを貸してやったのに」

「え?レンタル可能だった?」

「1回1000ベリーだ。」

「わお、取るとこ取るとかさすがキラーさん!ハンパないっす!」



マスクめろん
(かまってください。)



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なにこれ甘くないよ

(4/5)






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