おれのクルーが、




騒がしい昼下がりの食堂、ほとんどの船員が食堂で食事をしている中、入口でひたすらメモをとっている船員がいた

「‥‥おい、ウミ」

「はい。なんでしょう、頭」

その船員が気になったキッドは名前を呼んだ。ウミと呼ばれた船員はキッドの元へ行く

「それ、いつも持ち歩いてるよな」

キッドはウミが持っている淡いピンク色のメモ帳を指差した。

「コレですか?ええ、大切な物なので肌身離さず持ち歩いてますよ」

「んで、いつもそのメモでなにか書いてるよな」

「趣味なので」

「熱心になに書いてんだ?」

「えーと‥内緒、です」

「あ?」

顔を赤らめ、メモ帳を抱きしめたウミにキッドは眉間に皺を寄せる

「船長命令だ、見せてみろ」

「だ、駄目ですっ!」

「いいじゃねェか」

「プライバシー侵害!訴えますよ!」

「海賊が法にビビるかよ」

キッドはウミからメモ帳を取り、中身を見ようとした。

「うぎゃー!パワハラー!」

「止めないか、キッド」

低い声が聞こえ、キッドの手元からウミのメモ帳が離れる。

「んだよ、キラー」

「キラーさん!」

キッドからメモ帳を取り上げたのは彼の右腕のキラーだった。

「ほら、大事な物なんだろう?」

「あ‥ありがとうございますっ!」

キラーはキッドから取り上げたメモ帳をウミに渡す

「あまりいじめてやるな」

「お前は気になんねェのかよ」

「プライバシー侵害は感心しない」

「けっ、固ェ奴だ」

「‥‥‥っ、」

ウミは頬を染め、食堂から走り去った

「あ、逃げやがった」

「お前があんなことするからだ」

「へいへい、悪かったよ」


それからしばらくして‥キッドは風呂に入るため、脱衣所にいた。するとそこに見慣れたメモ帳を見付けた

「あ?コレってウミの‥」

恐らく風呂に入った後に忘れて行ってしまったのだろう。

「仕方ねェ、後で届けてやるか‥」

と、そこでキッドは気付いた。今ならメモ帳の中身が見れることに

(いや‥でも、ウミの奴、見られたくなさそうだったしな‥やっぱ無断で中見んのは可哀相だろ、)

変なところで良心が働くキッドはしばらく葛藤していた‥が、やはり見るなと言われたら見たくなるのが人の性だ。

「こ、こんなとこに忘れるのがいけねェんだからな!」

「なに言ってんスか頭?」
「ていうかそれ、ウミのメモ帳じゃないですか」

キッドの張り上げた声に周りにいた船員達はキッドの周りに集まり、そしてメモ帳を見る

「いっつもなに書いてんだろうな」

「確かに、ずっと気になってたんだよ」

「少しくらい見てもいいんじゃないですか?すぐ返せばいいし」

「そ、そうだよな、よし、見るぞ」

キッドは恐る恐るメモ帳を開いた。そして中を見て愕然とする

「‥んだコレ‥!?」

メモ帳にはびっしりとある人物の行動などが逐一、記されていた


『◯月▽日 キラーさんが食堂でパスタを食べてるよ。今日もカッコイイ!』

『◯月▽日 キラーさんが頭からメモ帳を取り返してくれたよ!やっぱりキラーさんは優しいな。大好き!』


「超ストーカーじゃねェか!!」

メモ帳に書かれているのは全てキラーのこと。キッドは顔を真っ青にしながら叫ぶ。そして周りにいる船員を見渡す

「え、なにウミの奴、こんな奴だったの!?マジでか!」

自分と同様に、船員も引いてると思っていたキッドだったが‥

「ああ〜‥やっぱりな」
「ウミの奴、やっぱキラーのこと好きだったんだなぁ」

「は?」

「前々から怪しいと思ってたぜ」
「しかし見事にキラーのことばっかだ」

「ええええ!?なに普通に受け止めてんの、お前ら順応性高すぎだろ!」


「あ、あったあった。」


そこにウミの声が響いた

「うおぉう!?」

「もう、見るなんて酷いです」

「すまんすまん、でもお前、キラーのこと書きすぎだろ〜」

「いいの!これは愛の日記だからね」

「ウミ、見付かったか?」

「はい!探すの手伝ってくれてありがとうございます!助かりました!」

「見付かってよかったな」

「キラーさんが脱衣所にあるんじゃないか、って教えてくれたおかげです」

「またなにかあったら遠慮せず言え」

「キラーさん‥!」

周りにハートを飛ばす勢いでキラーと話すウミ。そしてそんな二人を微笑ましそうに見る船員に、取り残されたおれ

「‥‥んだこれ、おれがおかしいのか?違うよな、おれ間違ってないよね。なにこの船」



おれのクルーが、
(超ストーカーな件について)



‐‐‐‐‐‐
ちょ、なんだこれ
明るいストーカーにしたかったんだ
ただ途中でなにか変わっただけなんだ

ただキラーさんをストーカーしたい、その気持ちが暴走した結果がこれだよ!

わかる人はわかると思います
ストーカーの元は某日記の
ヤンデレクイーンです

ごめんなさい
次こそ甘いの書きます

(02/23)






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