「うーん‥ヨシタケって、いつからその髪型にしたの?」
「は?」
ヨシタケはベッドから起き上がり、床に寝転がりながら漫画を読んでいる愛を見た。
「髪型?」
「小学校の時は普通だったじゃん」
「え?カッコ良くね?」
「いや、そうでも。」
「マジで!?俺が今までカッコイイと思ってた髪型ダサいの!?」
「なんか将来ハゲそうだよね」
「そういうこと言うなよ!」
「だって、ほら‥小学校の頃に比べたらおでこの面積がさ‥」
「げ!?み、見んな!」
遠くを見るような目付きでヨシタケの額を見る愛に、ヨシタケは青ざめて自分の額を隠す。
「ヨシタケのその髪型は書きにくいことに定評があるんだよ。だからヨシタケの絵があんま無いんだよ」
「事実を言うなああ!」
「それにさ、ぶっちゃけ‥副会長とキャラ被ってんだよね。」
「先に出たの俺えええ!そんでメインキャラクターも俺だから!」
「え?そうだったっけ‥?」
心底驚いた表情をする愛にヨシタケは半泣きで反論する。
「なんだその顔は、俺だよ!男子高校生の日常の三人組って言ったらタダクニとヒデノリと俺だろ!」
「え‥!?モトハルと唐沢さんと副会長じゃ‥!?」
「ナチュラルに忘れられてる会長!そして生徒会組三人衆め!俺らを食いやがって!」
愛は床から立ち上がり、悔しそうに壁に頭突きをするヨシタケの肩に優しく手を置いた。
「大丈夫‥ヨシタケのキャラが引き立つ髪型を思い付いたの」
「愛‥俺のために‥」
ジーンとヨシタケが感動をしていると突然、愛はヨシタケの髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。
「な、なな‥!?」
「副会長とキャラが被るなら‥おろせばいいのよ!!ヨシタケはオールバックヨシタケから前髪有りヨシタケに進化した!」
髪をぐしゃぐしゃにされたヨシタケは後ろにキチッとワックスで固めていた前髪がだらんと垂れている。
「‥‥‥どうだ?」
多少、不服ではあるものの、ヨシタケは愛に聞いてみた。
「‥‥‥‥‥」
「‥‥‥愛‥?」
「‥ヨシタケ、」
「なんだ?」
愛はしばらくそんなヨシタケを見ていたが、やがて口を開いた。
「会長‥」
「は?」
「会長とキャラ被ってる!!」
前髪をおろしたヨシタケを見て力強く愛は言い放った。
「え、ええ―‥?」
「オールバックにしてもおろしてもキャラ被るとかどういうことだよ!ヨシタケ、あんた‥ちゃんとキャラ立ちする気あんの!?初戦とは言え動きが悪いよ!」
「んでだよ、ちゃんとキャラ立ちしてんだろ俺!」
「甘ったれんなあああ!」
「ぐふぉ!!」
腹パンを喰らったヨシタケはそのままベッドに倒れ込んだ。愛はそんなヨシタケの胸倉を掴んで―‥
「諦めんなよお!!」
‥と、何処かのテニスプレイヤーのように熱く言った。
「愛‥!」
「本気になれば自分が変わる! 本気になれば全てが変わる!! 」
「うおおお!やってやんよおお!」
「その調子だヨシタケ!」
日本一熱い人の名言で盛り上がった二人はどんどんヒートアップし、ヨシタケのムーンプリズムパワーメイクアップ!作戦が始まった。
「‥‥‥で、出来た‥俺は、本当の俺になれたぞ‥!」
「長い戦いだった‥!」
二人は床に手を伏せて肩で息をしている。愛は自分の鞄から鏡を取り出した。
「顔を上げて、ヨシタケ‥あなたは生まれ変わったのよ‥」
「ああ、‥っ!!」
ヨシタケは顔を上げて鏡を見た。そして目を見開いた。
「こ‥これが‥本当の俺‥?」
「‥‥‥‥」
ゴクリと音を立て唾を飲み込んで、ヨシタケは大きく息を吸った。愛が持つ鏡に映っていたのは‥前髪を上げたヨシタケ。
「いつもの俺じゃねーか!!!」
本当の自分、知ってますか 戦果報告!いつものきみが本当のきみのようです!
アンケのヨシタケ前髪ネタです! 長らくお待たせしました‥!
ムーンプリズムパワーメイクアップはみんなだいすきセー○ームーンです。テニスプレイヤーは言わずもがな松岡さ(ry
ちょいとオマケです。
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