「なんか、最近多いんだよな」
「なにが多いの?」
「ラブレター」
「うっわ、自慢かよミツオ君」
「ちげえよ!ほら、これ」
ミツオ君はそういって愛に大量の手紙を見せた。手紙の内容は「好き」とだけ書かれた差出人もないラブレター。
「‥ミツオ君がラブレターねえ‥やれやれ、世も末かな。」
「なんでだよ!」
「それで?返事は?」
「わ‥わかんねえよ、だって、差出人も書いてないから誰が送ったかもわかんねえし」
ミツオ君は大量のラブレターを机の中に閉まった。引き出しには既に入りきらない程のラブレターが詰まっている。
「たぶん、全部同じ差出人だと思うんだけどさ〜‥あ、それだけじゃなくて、帰りもいる気がするんだよ。俺の後ろに誰かが、」
「‥ミツオ君、それって‥」
「な、なにかわかったのか?」
「告白しようとしてんじゃん?」
「え!マジ!?」
「告白したくても、ミツオ君がラーメン屋に立ち寄ったり、転んだり、川に飛び込んだりするから出来ないんだよ」
「マジかよ!くっそ、なんでもっと早くに気付かなかったんだ!」
全力で悔しがるミツオ君をフラッシュが包んだ。ミツオ君が顔を上げると愛が携帯のカメラ機能でミツオ君を撮っていた。
「‥なにやってんの?」
「今日のミツオ君。」
「なんだよそれ!」
「私のブログ。ミツオ君シリーズは意外と人気なんだよ」
「本人の許可無くなにしてんだ!つうか意外と、ってなんだよ!」
「今日は悔しがるミツオ君だね」
「話聞けよ!」
「まあまあ、そんで‥一週間前から始まったラブレターはどうするか決めとけば?」
「あー‥そうだな‥」
「そういえば、ミツオ君。サッカー辞めてラグビー始めて、レギュラーになれたんだって?おめでとう、試合でも活躍なんてすごいじゃん」
「お、サンキュ!見に来てくれたのか?言ってくれればよかったのに」
「いいのいいの、私は影からミツオ君を見てればそれだけでね」
「なにおしとやかぶってんだよ」
「私はいつでもおしとやかだし。」
「どの口が言うんだ」
「あ、ごめんミツオ君。私、用事あるから帰るわ」
「送るか?」
「ううん、大丈夫。ありがとう」
「気をつけてな」
「うん!じゃあね!」
「また明日な!」
愛はそういってミツオ君の部屋から出て行った。部屋に残されたミツオ君はしばらくラブレターを眺めていたが‥
「‥あれ?そういや俺、愛にこのラブレターが送られてくるようになったのが一週間前なんて言ったか?‥‥ま、いいか。」
暗い帰り道、愛は頬を染めて携帯を見ていた。その画面に映し出されていたのは先程撮った悔しがるミツオ君の姿。
「うん‥また明日、ね‥ミツオ君」
静かに迫りくる狂気 あいしてるよ。
ナチュラルストーカーヒロイン 色々と探せば不可解な点があります ええ、あると思います。
(5/3)
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