作戦失敗!‥あれ?成功?





「この俳優さん、カッコイイ!」

「そうか?」

「最近、いっぱいドラマに出てるよね。いつ見てもカッコイイよ」

「確かに人気みたいだな」

テレビを見ながら愛はヨシタケに言った。どうやら愛は今人気の若手俳優が好きらしく、テレビに釘付けになってる

ヨシタケはベッドで漫画を読みながら愛に返事をする

「ドラマ見た?」

「なんの?」

「木曜日の刑事ドラマ」

「見た」

「かっこよくない?」

愛はやたらその俳優を褒める。何故なら愛は今、ある作戦を実行しているからだ。

「あの人、刑事役超似合うよね」

愛の作戦‥それはヨシタケ以外の男の人を褒めてヨシタケを嫉妬させよう!大作戦、らしい。

普段あまり表に出さないヨシタケに不満を持った愛はこのような作戦に出たのだ。

「俺は犯人役のが好きだけど」

「女の子じゃん!」

だが、ヨシタケは平然と漫画を読んでいる。嫉妬をするどころか‥

「知ってるか?お前が好きな俳優、その犯人役の女優と付き合ってるらしいぜ」

「マジで!?なにそれショック」

普通に愛を返り討ちにしている

「‥‥あ、ヨシタケってこの音楽雑誌読んでたんだ。見ていい?」

「それは俺の好きなバンドの特集やってたから買った。読みたきゃ読んでいいぞ」

「私の好きなバンド載ってる」

愛はヨシタケの机の上にある雑誌を手に取り、読み始めた。

「このバンドよくない?ギターの人がね、お茶目でかわいいの。でもライブの時はカッコイイんだよ!」

そして、俳優の作戦が失敗したので次はアーティストで嫉妬作戦!に移行した。

「へえ‥」

「曲もいいし、今度のアニメの主題歌もやるんだって!凄いよね」

「そういやボーカルは確かあの有名なアーティストと付き合ってるらしいな。ほんとかどうかは知らんが」

「うそっ!?」

だが、また反撃を喰らった上に好きなアーティストの熱愛を聞いた愛はショックで放心状態になった。

「‥‥また失敗か‥」

「なにが?」

「‥ヨシタケ。私、帰る。じゃ‥」

「お、おい。愛?」

愛はヨロヨロしながら立ち上がり、そして足元がおぼつかない様子で帰っていった


「‥‥ちぇ、‥」

一人部屋に残されたヨシタケは面白くないといったような表情をして、その俳優が出演しているテレビを消し、愛が見ていた雑誌を丸めてごみ箱に捨てた‥


作戦失敗!‥あれ?成功?
彼は現在も尚嫉妬している模様!





さりげなく嫉妬してるヨシタケ

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