好きとスキ、





「わ、悪い。待った?」

「ううん、大丈夫だよ!」

俺と彼女の愛は放課後、一緒に帰るという甘酸っぱい青春のような時間を過ごしていた

「この前、奈古さんの鏡の中の少女に会ったの!かわいかったな〜‥」

「愛も会ったの?確かに、かわいいよな‥鏡の中のあの子」

「だから私いつでもあの子に会えるように凸面鏡常備してるの!それ奈古さんに言ったら問答無用で叩き割られたけど。これ6枚目」

「割られ過ぎだろ!」

「別に奈古さん自身がイヤなんじゃなくて、あれは照れる奈古さんを見れる数少ないチャンスなんだよ」

「そういえばそうだな‥あ〜‥でももう一回会いてえな、鏡の中のあの子‥」

「‥‥私じゃ不満?」

「い、いや、そうじゃないけど!」

「そっか。なら、よかった」

愛は不安げな表情から一変、安心したように笑った。俺はそれに一息つき、ポケットの中にある袋を握りしめ、頬を染めた

(いつ渡そう‥、)

俺が握りしめたせいで袋がカサッと音をたてる。それに慌て、気付かれたかと愛を見るが不思議そうに俺を見るだけだった

「‥よかった〜、」

「なにが?」

「い、いや!なんでも!」

「そう?あ‥そういえばタダクニ、覚えてる?前にゲーセンでデートした時にチャームが付いてる小さなくまのぬいぐるみのUFOキャッチャーがあったよね」

「え!?」

心臓が跳ねたと同時に俺は手の中にある袋を強く握りしめる

「私が欲しいって言って2人で一生懸命取ろうとしたの、覚えてる?」

「あ、当たり前だろ!」

愛は笑いながらその時のことを話す。俺はポケットの中身を出す決心をした。

「あのくまのぬいぐるみなんだけどね、実は昨日駅前‥」

「あ、あの!」

「うん?」

「これ‥!」

俺は愛の前に立ち、ポケットから袋を取り出した

「俺、これ‥愛に‥!」

「‥‥‥これは‥?」

「愛が欲しがってた‥」

愛は俺から受け取った袋を開けた。そして目を見開く。

「‥これ‥くまのぬいぐるみ‥」

「前やった時は取れなかったから、でも愛、欲しがってたろ?」

俺はゲーセンのUFOキャッチャーに張り付き×000円をかけ、このくまのぬいぐるみを取った。周囲の視線や、店員さんの生暖かい視線を感じながらも愛のために、と俺はそのUFOキャッチャーから離れなかった

「‥‥タダクニ‥」

「気に入ってくれたか‥?」

「ありがとう‥」

「!‥よ、よかった‥」

「でも‥」

愛は笑った後、鞄の中を探り出してなにかを取り出した。俺はそれを見て驚愕した‥

「え‥え、えっ?」

「ごめんね、タダクニ‥実は、」

俺の目の前にある物‥愛の手に握られていたのは俺があげた物と同じチャームが付いたくまのぬいぐるみだった

「さっき言おうとしたことはね‥昨日、駅前で見付けて買っちゃった‥ってこと、なの。あはは‥」

「‥‥マジで‥?」

「‥気持ちは嬉しいんだけど‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥」

「‥‥マジかよ‥」

「で、でも、嬉しいよ!私のために取ってくれたんでしょう?」

「愛‥」

「そうだ!せっかくタダクニが私のために取ってくれたんだもん!これは鞄につけるね!」

愛は俺があげたチャーム付きのくまのぬいぐるみを鞄につけた。

「だから、私が買ったやつはタダクニにあげる!」

「え?」

そして愛は自分が買ったくまのぬいぐるみを俺の鞄につける

「お揃い!」

くまのぬいぐるみを持って笑う愛。それに頬が熱くなるのを感じたが、

「俺にこんなの似合わねぇよ」

「そう?かわいいよ。いいじゃん!お揃いだよ!お揃いの物って初めてだね」

「そ、そうだな」

「なんかびっくりしたけど‥嬉しいな。ありがとう、タダクニ」

「サプライズのつもりだったんだけどな、俺こそありがとな。愛」

俺と愛はお互いの鞄に着いてるくまのぬいぐるみを見た後、顔を見合わせて笑った。


好きとスキ、
合わせたら、だいすき。





アンケにあったタダクニ甘夢です!リク通りになってるでしょうか‥?

(4/7)