俺のハート召し上がれ。





「おっす、モトハル。」

「なにしに来たんだよお前」

「わざわざ家に遊びに来てやったのになんだその言い草は」

「頼んでねーよ」

「まあまあ、家に上げてくれても構わないよ」

「帰ってくれると嬉しいんだけど」

「その選択肢は石化しました」

「なにしに来たの?」

「お腹空いた」

「飯食いにきただけか」

「そうとも言う」

勝手に家に上がり込んでリビングで寛いでる姉ちゃんのとこに一直線に向かっていくのは幼馴染の愛。家が近いということもあり、こうしてよく夕飯を食べに来る

「こんばんはミノさん!」

「お、愛か!よく来た!よし!んじゃ、今日はモトハル飯作れ!」

「俺かよ」

「モトハル、今日なに?」

「食う気満々だな‥」

「モトハル!ハンバーグ!」

「おお、いいですね。ハンバーグ!モトハル、ハンバーグ!」

姉だけでも騒がしいのに、さらに騒がしいのが増えた。俺は溜息をついてハンバーグを作り始めた。その間にも姉と幼馴染は馬鹿でかい声で会話をしている

「愛、あんた‥ハート撃ち抜かれたことある?」

「日本では銃を持つと銃刀法違反で逮捕されますよミノさん!」

「ばっか、違うだろ!ハートだよ、ハート!」

「心臓撃たれたら即死ですね!」

「そうだよ、ズキュン!っつって動悸目眩が始まるんだよ」

「心臓撃たれて動悸目眩だけですむとかハンパないですね!さすがミノさん!」

「あたしはこの前、出会った犬に一目惚れしたんだけど〜‥」

先程から全く噛み合っていない会話を聞きながら俺はハンバーグを作る

「愛はないの!?」

「‥‥うーん、ハートぶち抜かれたことなんてないですね。おーい、モトハルはー?」

「俺?急に振るなよ」

「私はないけど、モトハルはあるのかなって思って」

「‥‥俺は‥」

ハンバーグをこねながら考え、そしてなるべく小さな声で返事をした

「‥ある、けど‥」

「誰!?」
「マジで!!」

「‥‥すげえ食いつき‥」

二人はほぼ同時に返事をした。

「ねえ、誰々?」

「誰にも言わないからお姉ちゃんに言え!」

「イヤだよ。」

「モトハルも男の子ですねえ」
「全く、姉を差し置いて‥」

ニヤニヤしながら茶化す愛とふて腐れる姉をとりあえず放置する。

「そうだ!モトハル、私のハンバーグはハートの形にしてね!野菜も!」

「なんでだよ、めんどくさい」

「かわいいから。ほら、型抜き」

「野菜は自分でやれよ」

「仕方ないなぁ」

愛はソファーから立ち上がり、ハート型のハンバーグを作る俺のいる台所へと来る。

「お、いいね。かわいいよ!」

「ほら‥これでいいだろ?」

「ばっちり!後は焼くだけだね!」

「モトハルー!ハンバーグはまだかー!?」

「今できるよ」

出来たハンバーグを食卓に並べる。自分で言うのもなんだが、今日のハンバーグは自信作だ。



「クソ!美味いんだよ!」

「ぐふっ!あ‥ありがとうございます‥っ、」

「落ち着いてミノさんっ!」

騒がしくご飯を食べていた時に愛がなにを思ったのか、ハート型のハンバーグの真ん中をえぐって食べていた。

「なにしてんのお前」

「え?なにってモトハルのハート、撃ち抜いてんの」

「はっ?」

「このハンバーグはモトハルのハートで、私がそれを撃ち抜く!」

「‥お前‥そのためにわざわざ俺にハート型のハンバーグ作らせたのか?」

「ズキュン、って音した?」

「‥‥ばーか。するワケねーだろ。ていうか行儀悪ぃよ」

「やっぱ?」


俺のハートをとっくの昔に撃ち抜いたのは愛だ、と思わず口に出そうだったので俺は慌ててハンバーグを掻き込んだ。


俺のハート召し上がれ。
あなたのハートいただきます





アンケにあったモトハル甘夢です
我が家特有のヘタレ料理男子モトハル!

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