「バニラ!」
「いいや、チョコだ!」
アイスクリーム屋の前で言い争いを繰り広げているのはヨシタケと愛
「有り得ないよ、チョコアイスなんて何時でも何処でも食べられるじゃん!でも、ここのバニラアイスはこのお店でしか食べられないの!」
「俺のチョコを侮辱するな!それにバニラこそ何処でだって食えるだろ!」
「じゃあ、我慢してよ!」 「どうしてそうなんだっ!」
「私がバニラアイス食べたいから」
「俺だってチョコ食いてえよ!」
「ヨシタケはミックスはイヤなんでしょ?ワガママ過ぎ!」
「俺はそのまま食いたいんだよっ!ていうか、味覚の好みが正反対な俺らが一つのアイスクリーム一緒に食うこと自体、間違ってんだ!」
ヨシタケは愛を指差して声高らかに言う。そう、先程のチョコバニラ戦争は味覚正反対のヨシタケと愛が二人で一つのアイスクリームを食べようという暴挙に出たからである
「だって、一回でいいからそういうリア充みたいなことしたかったんだもん!」
「んなこと言ったってよ‥今までチャレンジしたの全部ダメだったじゃねーか。覚えてっか?炭酸飲めねえ俺と超炭酸好きな愛が挑戦した、二人で一つのコップでジュース飲もうとした時‥炭酸か普通のジュースかで大喧嘩しただろ。」
「うん‥そんなことあった‥そうだね。私たちってほんと味覚だけは合わない‥私は辛党だけど、ヨシタケは甘党だもんね‥」
「前途多難だな、俺ら‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「なあ、」 「ねえ」
「‥なんだよ」
「そっちこそ、」
「俺に名案があるんだが」
「私も」
「一つだけ、バニラとチョコが喧嘩せずに合わさった奇跡的なアイスがあるぜ」
「チョコチップ‥でしょ?」
「おう、いいだろ?」
「うん!」
「ほら、チョコチップアイス」
「ありがと‥んー!美味しいね!」
「俺にもくれよ」
「はい」
ヨシタケは愛の手に握られたチョコチップに顔を近付け、ガブリと食べた。
「あー!ちょっと、ヨシタケ!あんた一口がでかい!」
「知らね、それより早く食わないと溶けんぞ」
「わ、垂れてきた!」
「バーカ」
ヨシタケと愛は初めて二人で一つのものを食べる、ということが思った以上に嬉しいらしく、笑顔で交互にアイスを食べている
「なんかやっとだね〜‥」
「おう、長かったな」
「そんな大層な夢でもないけどさ」
「今まではほんとに噛み合わなかったよなー」
「チョコチップ、美味しい。バニラ並に好きになりそう」
「俺も、はまりそうだわ」
「こうやってまた一緒の物、食べたいね」
「愛が甘党になればな」
「ヨシタケが辛党になればいいよ」
前途多難、でも意気揚々 次こそジュース!
ヨシタケは甘党派っぽい‥けど、辛いものも平気で食べられそう
二人で一つのもの食べるシチュとかなんてリア充。
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