喧嘩するほどなんとやら






「ヒマ!」

「急になんだよ」

「だから、ヒマなんだって!」

「ゲームしてんだろ?」

「飽きた」

「もうG級クエスト行けんじゃん、そのまま行っちまえよ」


ヨシタケの部屋で叫ぶ愛
どうやら先程までやり込んでいたPSPのゲームが飽きたらしく、テレビゲームをしているヨシタケに声を掛けた

ヨシタケは今、やっているゲームが面白いらしく、愛に構う気配は無い


「むう‥だって一人プレイじゃん、すぐ死んじゃうよ」

「んでだよ、鎧を強化すりゃそう簡単には死なねえっての」

「死んじゃう」

「下手くそ」

「なら一緒に通信プレイしてよ!」

「めんどくせえな!」


愛は仕方なさそうに再びPSPを持ち、ゲームをやり始めた。ヨシタケはまたすぐゲームに没頭する





「‥‥‥ヨシタケー」

「んー?」


しばらくして、再び愛がヨシタケに話し掛けた


「このモンスターに効く属性ってなんだったっけ?雷?」

「そいつは麻痺とか毒属性じゃなきゃ属性攻撃効かねえぞ」

「ん、わかった」

「ちゃんと回復薬持ってけよ」

「失礼な、わかってるよ」

「この前忘れて死んだくせに」

「うるさいな!」

「まあ、気が向いたらまた通信プレイしてやるよ。気が向いたらな」

「その時には私のほうがヨシタケより強いG級ハンターになってるから!」

「ハッ、どうだかな」

「ふーんだ!精々今のうちに吠えていなさい‥てゆーか、モンスターどこにいんのよ!どのエリアにもいないじゃない!めっちゃヒマ!モンスター狩るゲームなのにそのモンスターがいないんじゃ話になんない!ヨシタケ、今すぐなんか面白い話しなさい!」


愛がゲーム画面を見ながらヨシタケに無茶ぶりをする。


「は?面白い話?」

「モンスターが出てくるまででいいからなんかしてよ」

「‥‥‥‥」


ヨシタケはコントローラーを握ったまま、しばらくなにを話すか考えているようだった。


「うーん‥このエリアかな?‥あ、きた!やっと見付けた!」

「なあ、」


その時、今まで黙っていたヨシタケが口を開いた。


「なに!?今、狩ってる最中なんだけど!うぎゃああ、めっちゃ強っ!ヤバいヤバい!死ぬ!」

「すぐ終わるって」

「手短にね!」



「俺、お前のこと好きだわ」



「ああ、そう!面白い面白い!めちゃくちゃおもしろ‥は?」


最初は適当に返していた愛#だったが、ヨシタケの話の内容に気付いたのだろう。目を丸くし、ヨシタケを見ている

一方、ヨシタケはそのままゲームをしている。


「は‥?なに、今の。」

「もう言ってやんね」

「ちょ‥あー!?死んだ!」


愛はゲーム画面を見た。すると声を上げた。画面はモンスターにやられたところらしい


「バカ!ヨシタケがそんなこと言うから死んじゃったじゃん!後もうちょっとだったのに!」

「お前が面白いこと言えって言ったんだろ。なにが悪いんだよ」

「ばーかばーか!」

「んだよ、ばーかっ!」

「うるさい!あんたが変なこと言わなきゃ私はそのままモンスターを無事、狩ってたのよ!」

「知るかよ」

「それに、なんでこのタイミングで言うのバカ!あんたにはムードとかの概念がないの?バカなの?ねえ、バカなの?」

「るせえな!大体、俺が夜景が見えるレストランとかでお前に告白したらお前、どう思うんだよ!」

「キモいよ!!」

「そうだけど力強く否定すんな!傷付くだろ!」

「夜景の見えるレストランとか求めないから夜の海とか放課後の教室とかにしてよ!なんでこのタイミング!?」

「んなの出来るかっての!それより返事聞かせろよ!」

「25点!」

「ざけんなこのクソ女が!」

「でも私もそんなムードもへったくれもないヨシタケが好きだバーカ!満足したか!」

「ほんとに可愛いげ皆無な女だな!お前は俺しか貰い手いねえよバーカ!」



喧嘩するほどなんとやら
僕達はこれくらいがちょうどいい



ヨシタケ甘夢‥ですハイ
幼馴染み喧嘩っぷるうまいです
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

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