夜、部屋で漫画を読んでいるとメールが届いた。横にある携帯を手に取り、中身を確認する。メールの差出人は隣に住んでる愛からだった。
『ベランダ出て』
不思議に思いながらもヨシタケは立ち上がり、窓を開ける。
「やっほー」
「どうしたんだよ」
「ちょっとコレを渡したくてね!」
「わ、急に物投げんな、」
ベランダを出ると愛は手を振りながら俺を見ている。そしてなにかを投げ付けてきた
「‥紙コップ?」
「そう、懐かしいでしょ?」
「糸電話‥ってマジで懐かしいな」
投げられた物をキャッチし、見てみるとそれは糸電話だった
「コレなら24時間いつでもタダ!」
「ただし範囲限られてるけどな」
「ほらほら、通話しようよ」
「わかったわかった」
糸で繋がれた紙コップを耳に当てる
「おーい、ヨシタケー」
愛の声が紙コップから聞こえた
「聞こえるー?」
そして、俺は返事をするために紙コップを耳から口へと当てた
「聞こえたー」
それから糸電話で会話が始まった
「ねえ、ヨシタケ。覚えてるー?」
「なにが?」
「小学生の時さ、初めて携帯を持ったミツオ君が自慢してきて‥それを羨ましがったヨシタケが糸電話作って私に自慢してきたの」
「なんで覚えてんだよ!」
「あれ意味わかんなかった。携帯と糸電話じゃ次元違うし」
「仕方ねーだろ!あん時は携帯持ってなかったんだから」
「これなら何処でも電話出来るぜ!って超ドヤ顔して来たの‥あれ衝撃的だったなー」
「う、うるせえな!」
「そんで毎日毎日、私の家のベランダに糸電話投げてきてヨシタケの擬似携帯ごっこに付き合わされてた」
「何年前だと思ってんだ!」
「8年くらい?」
「その通りだよ!」
「それを急に思い出したから、久しぶりに作ってみた。どう?」
「どう?じゃねーよ‥黒歴史掘り起こされて喜ぶ奴いねえだろ普通‥」
「あ、黒歴史だったんだ」
「当たり前だろ!」
「これで黒歴史ならヨシタケの過去って黒歴史だらけじゃん、大丈夫?思い出してぐああ!とかならないの?」
「今現在進行形でなってんだよ!」
「ま、私は嫌じゃなかったけど」
「はあ?」
「ヨシタケの擬似携帯ごっこ」
「あ、その呼び方やめてくんない?ほんと恥ずかしいから」
「ぶっちゃけいつ来るか待ってた」
「なんでだよ。散々、嫌味ったらしく言ってたくせに」
「‥わかれよ鈍感。なんのために私が糸電話作ったと思ってんだ」
「あ?なんか言った?あー‥悪い、もう1回言ってくんね?」
「‥ヨシタケは鈍感バカって。」
真夜中ラブコール 好き、だから待ってたんだよ
前々からネタは思い浮かんでたんですが中々書けなかった糸電話のお話です。
糸電話ネタまだある‥のでもしかしたらまた書くかもしれません
お付き合いいただき、ありがとうございました!
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