俺は占いなんて信じない。 そう、例え‥今日、乙女座は運勢が最悪だと言われようが、顔にハチが止まろうが‥俺は絶対に信じないぞっ!
「やあ、青少年。黄昏中かい?」
「うおっ!‥なんだ、愛か」
「河原で一人、黄昏れる少年の前に少女が現れて恋に落ちるという非現実的なボーイミーツガールはないから安心しなよ」
河原に座る俺の背後に立つのは向かい側に住んでる愛だ。
「どうしたの?まるでハチが口元に2回も止まった挙句、顔面に殺虫剤掛けられたみたいな顔して」
「なんでそこまで知ってるの!?だいたい合ってるどころか大正解だよ!」
「そういえば雑誌で見たけど‥今日、乙女座は運勢最悪らしいじゃん」
「俺は占いなんて信じない!」
「自分に言い聞かせてるみたいだね」
俺の隣に座り、愛は鞄からヨシタケが持っていたあのクソ忌ま忌ましい雑誌を取り出し、見ている
「ははっ‥やっぱり運勢最悪だ。じゃあなに?占いは当たったんだ」
「んなモン、まぐれだろ!」
「まあ、確かに天文学的確率だもんね。ハチが2回も顔に止まるとか」
「だから何でそんな詳しいんだよ!現場にいたのかお前!」
「大丈夫、ヒデノリがヨシタケ君と事故チューしてモトハル君からお金貰って、そして唐沢君に殺虫剤掛けられたとこなんて見てないよ」
「最初から最後までがっつり見てんじゃねーか!!」
「蜂ってハチミツの味するのかな」
「どーでもいいよっ!」
クソ‥!この女、他人事だと思って好き勝手言いやがって‥!というか一部始終見てたのかよコイツ!
「あ、あのな、言っておくが、あれは本当に事故だからな!好きでした訳じゃねーぞ!」
「なに必死になってんのよ‥お金なら払わないわよ」
ちくしょう、なんて場面を見られたんだ。これじゃ、愛に誤解されちまう!
「言っとくけど、俺は‥!」
「ねえ、今日‥運勢最悪のヒデノリを私が幸せにしてあげようか?」
「は?」
その時、俺の頬に柔らかいものが当たり、そして離れた
「‥は‥っ?」
「因みにヒデノリと私の星座の相性は抜群。なにより、今日の私の星座は運勢が最高なの。だから、運勢最悪なヒデノリに、私の運気をわけてあげる」
幸せになった?と笑顔で聞く愛に開いた口が塞がらない俺。
な、なんだ今の、今、愛が俺の頬に‥キ、キスした‥!?
「うっわ、顔真っ赤。青春だねぇ〜」
「な、なんで‥!」
「幸せのおすそ分け」
「だ‥だからって‥好きでもなんでもない男にキスなんてするなよ!純情で照れ屋な男子高校生の気持ちを弄ぶ気か!」
「バカね、好きでもなんでもない男にシャイで恥ずかしがり屋な女子高生がキスするワケないでしょ、いい加減気付きなさいよ鈍感」
「は‥!?」
そういってそっぽを向いた愛の耳は赤かった。
「‥‥愛‥」
「なに?」
「今日、人生最高の日になったわ」
「‥それはなにより、」
当たるも八卦当たらぬも八卦 私の幸せを大好きなあなたに!
「な‥なあ、今度はその‥頬じゃなくてさ‥口にキ、キスしねぇか?」
愛は優しく微笑み‥
「ヤだ。私とキスしたきゃ顔、100回洗ってから出直して来いや」
ヒデノリ甘夢です そういえばヒデノリ夢は2作品目です。好きなのに増えない\^^/
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