「うわ、電車めちゃ混んでる」
「空いてると思ったのか?」
「次の電車‥」
「どれも同じだ。乗るぞ」
「はーい‥」
今日はとしゆきと遊園地でデート。それはそれは楽しみで、前日は遠足前の小学生のように眠れなかった。だからぶっちゃけ満員電車はとてもテンションが下がる
「圧死する‥」
ぎゅうぎゅう詰めの車内は睡眠不足の体にキツい。というか手摺りに掴まれないし、そもそも手が上に上げられない
「毎日こんなのに乗ってる学生やサラリーマンすごい‥」
「お前も学生だ」
「私は徒歩通学だし、うわあ‥ドア付近の人なんてもう顔がドアに当たってるじゃん‥」
「停車するぞ、ちゃんと立ってろ」
「んなこと言っても動けな‥い!?」
電車が駅に着き、停車した。その時の揺れで不安定だった愛の体が大きく傾く
「う、わ‥!」
こんな人ごみだから床に倒れることはなく、周囲の人にぶつかる程度で済むだろうが‥それはそれで間違いなく迷惑行為だ。
頭では判断出来るが、体はそうはいかないもので‥そのまま視界がぐらりと揺れる
(やば、ぶつかる!嗚呼、そこのサラリーマンさんごめんなさい‥!)
心の中で手摺りに掴まっているサラリーマンに謝った時‥右手を強く掴まれ傾いた体が止まった
「おおう‥、」
「‥やれやれ‥だから、ちゃんと立てと言っただろう。」
私の右手を掴んでいるのはとしゆきだった。呆れたように私を見ている
「あ‥ありがとう、サラリーマンさんにダイブしなくて済んだ‥」
「お前がバカなことをすれば、俺も同類に見られるからな」
「ちくしょー、今の私のときめき返せコノヤロー」
「怪我はないな?」
「おかげさまでねー」
「掴まってろ、危なっかしい」
「はいい?」
「俺の服にでも掴まっていろと言っているんだ、周りの人にダイブでもされたら敵わん」
「としゆきにダイブする。そんでダイブ食らわすと同時に腹パン食らわす」
「お前は本当に性格が悪いな」
「うるさいよオカン」
「大体、お前はいつも‥」
そういってとしゆきのスーパーとしゆき小言タイムが始まったので私は大人しくとしゆきの腕を掴んでいた。すると、目の前のお兄さんのショルダーバッグが私の顔面にジャストフィットし、とても息がしづらい
(うう‥く、苦しっ!なにこれジャストフィットし過ぎじゃね!?)
顔を右や左に動かすが、大して効果はない。ただでさえこんな密集地帯で息苦しいのに追い撃ちを掛けられたら堪ったモンじゃない、とても苦しい
「〜〜‥!!」
(と、としゆき!ヘルプ!私をこの暗黒地帯から解き放って、新鮮な空気を私に‥って、なに携帯で到着時刻確認してんだお前はぁああああ!!)
としゆきに助けを求めようととしゆきの方向に視線を向けた、が‥肝心のとしゆきは携帯で到着時刻や乗り継ぎの駅などを調べているようだ
(ちくしょう!なんでこんな時に確認なんてするのさ!彼女の命が風前の灯なんだぞ!時刻より確認しなきゃいけないものが目の前にあるだろう!)
私の死因は満員電車の中のショルダーバッグジャストフィットによる窒息死か‥なんてことを考えつつ、軽い走馬灯を見た‥ような気がする
「‥おい、」
としゆきの声が聞こえたと思ったら引き寄せられ、途端に息が楽になった
「ぷはっ‥た、たすかった‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「あ、ありがと‥あれ?てか、携帯いじってたんじゃなかったの‥?」
「‥‥さすがに死因が満員電車の中のショルダーバッグジャストフィットによる窒息死は気の毒でな」
「いらない解説どうもありがとう」
「もう俺から離れるなお前」
「嫁に来いと」
「ちょっと目を離すと問題に巻き込まれてる。とんだトラブルメーカーだからな」
「でもそんな私が好きなくせに〜」
「いいから駅着くまで傍にいろ。心配で目が離せん」
「‥‥‥いえっさー、」
大丈夫、気付いてるよ どんな時でもキミを見てるから、
唐沢さんにはさりげなさを求めてます なんかナチュラルにこういうことしてほしいです
名前変換ないごめんなさいorz
唐沢さんはちゃんと見てます すぐ気付いてすぐ助けてくれます
こんな唐沢さんどうでしょう
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