好奇心からの出来事
状況を把握するために思考を巡らさせた。
今、奈々詩は司馬懿に押し倒されている。
「しし、司馬懿様!? 寝ぼけておられるのですか?」
司馬懿は奈々詩の首筋に顔を埋めているので、首筋に彼の吐息がかかり、くすぐったい。
それだけで恥ずかしさがいっぱいなのに、彼はさらに追い討ちをかけるような行動をする。
「珍しく積極的かと思えば、口つけの一つも出来んとは……」
司馬懿はわざと奈々詩の耳元で低い声で囁く。
心地い音色が至近距離で響いた。
だが奈々詩は彼のペースに持ってかれまいと混乱した頭で言葉を探す。
「あ、あの、起きていらしたんですか?」
「お前が部屋に入ってきてからだ。正確には起こされた、だな。」
そう言うと顔を上げた司馬懿が目を細め、奈々詩に向かってニヤリと意地悪そうに笑って見せる。
「う…すみません。で、では私はもう司馬懿様の邪魔にならないよう部屋を出ますから」
「待て。お前は私を撫で回しただろう」
「な、撫で回すなんてそんな…」
少し撫でただけなのに大袈裟過ぎないかと顔を赤くして、そう思いながらも奈々詩は抵抗の一つもしなかった。
彼女が抵抗しないのは、女の自分が男の力に勝てないと分かっているから。
「奈々詩、お前は実に利口だ。女のお前が男の私に勝てる筈がないからな」
そう言うと司馬懿は奈々詩がしたように片手で頬を包み込むように優しく撫で始めた。
既に観念している奈々詩は顔を赤くしながらその愛撫を受け入れる。