似た者同士
翌日、奈々詩が大坂城の敷地内を歩いている時だった。
「お前は素直なのだな…」
ふと、自分の幼名の名前が聞こえてきた。
奈々詩は自分の幼名を奈々詩に改名してから大坂城来たので自分の幼名を知る人物は、自分が使えている人ただ一人しかいない。
幼名で呼ばれることは無かったのに、と不思議に思いながらそちらに足を運ぶ。
「お呼びでしょうか、三成さ、ま……」
「……今の…聞いて、いたのか…?」
恐る恐る聞く三成に奈々詩は黙ってこくんと頷く。
そして彼女はその光景を見て、昨日の自分と重ねた。
「ひ、拾ってきたんですか…?」
と奈々詩も恐る恐る聞く。
三成は罰の悪い顔をしたので奈々詩は拾ってきたと思ってしまう。
「馬鹿が、お前と一緒にするな。…買ってきた」
「そう、ですか……では名前は何故…?」
「何となく、だ!」
そう威厳に言う三成だが、まるで迫力がないのが分かる。
それは彼が顔を赤くしているからだった。
...終...