似た者同士
「三成、久しぶりだな!」
「奈々詩殿もお元気そうで」
「兼続様に幸村様!」
奈々詩の腕に抱えている子犬が突然、わんっと吠えた。
子犬が自己主張しているような、それか親しい者に対しての再会の喜びを表しているような。
おそらく後者の方だろう。
嬉しそうに尻尾を振っているので、抱えたままでは可哀想だと思った奈々詩は子犬を地面に降ろした。
すると子犬は案の定、兼続と幸村の方へ向かっていく。
「この子犬は迷子のようでな。幸村、兼続、お前達になついているようだが…」
「いや、このような愛らしい子犬は知らぬ」
「慶二殿の飼っていた子犬に似てますね。名前は確か…松風二号丸でしたか」
幸村が兼続にそう言うと、兼続も肯定した。
それを聞いた三成と奈々詩は顔を見合わせる。
「あの、もしかしたら慶二様の子犬かも知れません。
首から下げてる小さい板に“まつ”なんとかって書いてありましたから…」
「なんと。そういえば慶二殿の子犬が迷子になったと言っていました」
子犬が無事に飼い主に帰ることとなり、ホッと安心した奈々詩。
幸村と兼続は用が済むと帰っていった。