伝わる温もり
「確かに馬岱殿はこの手で多くの命を奪っています。
けれど、それと同時に多くの命も救ってもいるのですよ?私はこの手が大好きです」
「奈々詩殿…有り難う」
馬岱は奈々詩の言葉を聞いて救われたようで、気持ちが軽くなった。
もう片手を彼女の顔に添えて、優しく包む。
親指で愛おしいそうに奈々詩の頬を撫でると、気持ち良さそうに奈々詩はそっと目を瞑った。
馬岱は顔を近づけて彼女の頬に口を付ける。
「馬岱殿……」
目を開けた奈々詩は恥ずかしそうに顔を赤く染め、馬岱は満足気に微笑む。
「こっちは、もう少ししたらするよ」
軽く奈々詩の唇を人差し指で触れると、彼女はもっと顔を赤くした。
互いに触れた手が、頬が。
温もりを伝って気持ちをより深く繋げてくれた。
...終...