弱い冬

矢車風香×土中竜



風香「久し振りね、土中君」

竜「ん、ああ、そだね。久し振り」

風香「ふふ」

竜「なんだよ」

風香「だって何だか、感慨深いじゃない? 数年前にあなたの物語が掲載されて、長い時を経て今度は私の番。もう諦めていたのに」

竜「そうだな。同じ物語を別の人物の視点で」

風香「スピンオフとしてはよくある手法だし、物語としては面白くもなんともない作品なのにね」

竜「身も蓋もないこと言うな」

風香「いいじゃない、誰も見ていない裏での会話なのだから」

竜「あぁ、そうだな」

風香「今後も私たちの作品がまた執筆されたら良いのだけれど」

竜「そうだな、そうしたら多分、今度は会えるよ」

風香「そうね、そう信じてる」

竜「一度書いたら、またキャラクターを書きやすくなるだろう」

風香「そうね、だから多分これから増えるのだと思うわ」

竜「それにしても、前回から随分色々と状況が変わったよな」

風香「そうね。昔は、お疲れ様会が裏じゃなかったし、作者と直接対談だったのよね」

竜「痛すぎだよな」

風香「そうよね、可哀想だから言わなかったけど」

竜「それはそれで酷い」

風香「ね、そういえば土中君」

竜「なんだい、矢車さん」

風香「前回の作品を掲示板に投稿してその感想を頂いた所、かなりの好評だったのよ」

竜「そうなの? 俺のただのモノローグなのに」

風香「世の中分からないものね」

竜「具体的にはなんて言われたんだ」

風香「先ずは、記憶をCDで巻き戻す云々が、どこぞのギャルゲみたいでガキ臭かったって」

竜「好評じゃねえじゃん」

風香「でも、全体的な内容は、恋愛苦手な人でもちゃんと読めて、純文学としては素晴らしいって」

竜「恋愛作品なのに恋愛苦手な人でも大丈夫だったって、それ褒め言葉として捉えていいのか」

風香「作者は、スパルタ辛口の批評をお願いしていたのだけれど、いい所ばかりだからかえって評価しにくいって言われたそうよ」

竜「へぇ、良かったじゃん」

風香「自分が褒められたように感じるでしょう」

竜「あぁ、まぁそうかもな」

風香「それじゃ、今日はこの辺でお開きにしましょうか」

竜「そうだな。もうひとつの短編の奴らとは違って、何も建設的なこと話せてないけど」

風香「あら、でも、お疲れ様会としての当初の目的を果たせた最初のケースなのよ、これ」

竜「というと?」

風香「作者は本来、ここで読者からの感想を取り上げたかったそうなの」

竜「知らなかった」

風香「今まであまりそういうことがなかったから」

竜「だろうな」

風香「でも、何はともあれ良かったわよね!」











「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -