微睡みの中で
「……憐」
「ん?」
甘噛みを止めて顔を埋めたまま話しかければ、ちゃんと返してくれる。
憐は僕の言葉をちゃんと聞き取ってくれる。
「僕とえっちしてる時、気持ちいい?」
「気持ちいいよ」
「本当に? 僕だけ気持ちいいじゃ、ない?」
「ちゃんと俺も気持ちいいよ」
「ほんと、に?」
「あぁ」
憐の言葉を聞いて憐をじーっと見つめると、憐も僕を見つめ返してくれた。
「でも、僕ばっか気持ちよくしてて……憐、気持ちーの?」
「気持ちいいよ」
「でもでも……」
「吏來? なにが不安?」
「僕だけ気持ちいいのやだ……僕も憐を気持ちよくしたいの」
泣きそうになってむすっと拗ねたような顔になって憐を見つめながら言うと、憐は呆れたように笑って僕の目元を撫でてくれた。
「そんな事で不安に思ってたのか?」
「そんな事じゃないもん」
「俺は吏來を気持ちよくしたいんだよ……それに、十分今のままでいいよ」
「やだ……僕だって気持ちよくしたいの」
憐にもっともっと気持ちよくなってもらいたいんだもん。
僕が憐を気持ちよくしたいの。
「吏來は今のままでいて欲しいんだけど?」
「やだ」
「はぁ……俺はお前を壊したくねーの。分かるか?」
憐の言葉に首を横に振ると、ちゅっとおでこにちゅーされた。
なんで……?
「これ以上縋られて煽られると何するか分かんねーぞ? 吏來、自分じゃ分からねーだろうがけっこう俺を煽ってるからな?」
「煽る……?」
「可愛い反応し過ぎって事だよ」
「むぅ……可愛くないもん」
唇を尖らせて突き出してると、憐にそれをパクッと食べられて舐められた。
「俺からしたらどんな吏來も可愛いんだよ」
「……分かんない」
「ふっ……だから、今でも十分煽られて抑えてんのにこれ以上求められると本当に吏來を壊しそうになんの」
「いっつも余裕そうなのに?」
「吏來を不安にさせたくないからな」
「……じゃあ、なんで止めてくれないの? いやって言ってたのに」
「本気で嫌だって言えば止めたよ……でも、吏來のあの嫌は本気じゃないだろ?」
「むぅ……」
「な?」
「うん……」
なんでも僕のこと分かってるんだな……憐って。
僕だって憐のことなんでも知りたいな……
「でも……」
「ん?」
いっつもいっつも抑えてるなら、爆発しないのかな?
他の人とえっちしてるなら嫌だな……
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