等価交換

「いひゃい」
「見つめ過ぎ」
「らって……」


ちょっとだけ痛くて唇を尖らせて憐を見つめていると、手が離れて頭をくしゃりと撫でてきた。
……そんなことされても許さないもん。
むすっとしていると、憐は困った顔をして僕を見つめ返してきた。

むっ……憐ズルい……


「後で好きにしてくれていいから機嫌直せ」
「……ちゅーしていい?」
「いいよ」
「いっぱいいっぱいしていい?」
「気が済むまでどーぞ」
「痕もいっぱいいっぱい付けていい?」
「好きなだけどーぞ」
「憐動いちゃダメだよ?」
「分かってるよ」


僕の言うことに全部全部微笑んで答えてくれた憐
僕の好きなようにさせてくれる憐
僕の大好きな憐


「じゃあ許す」
「ん、ありがとう」
「どういたしまして」


にこっと笑えば、憐も笑ってくれた。
このお話が終わったら僕だけの憐になってくれるんだ。嬉しいな……僕、憐が好きで良かった。憐と一緒になれて良かった。


「ねぇねぇ、半分ってなに? 正解は?」
「大好きな人に向けてってのは大体合ってるよ」
「うん?」
「つまり、吏來のやったアレは恋人に向けてやる行為なんだよ」
「……恋人? じゃあ、他の人にやっちゃダメなの?」
「そういう事になるな」
「むぅ……玲音とか八尋にもダメなの? 英くんとかもダメ?」
「まあ……その3人になら大丈夫だろ」


えっと……じゃあ、他の人はダメなのかな?
でも、なんで恋人に向けてやるんだろう?
好きな人じゃダメなの?


「他の人はダメ……?」
「なるべくならな」
「なんで?」
「意味を知ってたら厄介だからな」


ポンポンと僕の頭を撫でながらそう言った憐。
んーと……? 恋人にしかダメって事?

憐の言葉に首を傾げていると、憐が微笑んで僕の唇をふにふにとして来たから、カプッと憐の指を食べたら笑われた。
そして、指で僕の舌を撫でた。
んむ……ちょっとだけ苦い……憐、煙草吸ってたのかな? でも、臭いはしなかったけどな……


「勘違いした奴に犯されるの、嫌だろ?」
「ん」
「だからだよ」


憐はそう言うと僕の口から指を抜いた。
僕、憐じゃないと嫌だけど……憐は僕じゃなくてもいいのかな? なんて思ったら、急に不安になった。


「憐は……僕の事好き?」
「急にどうした?」
「僕は憐の事好きだよ? 憐じゃないと嫌だ」
「……吏來?」


ぎゅーっと抱きつくと、憐は優しく抱きしめ返してくれる。そして、僕は憐の香りに包まれて安心する。
でも、言葉も聞かないと怖くなる。
もう、捨てられたくないから。


「憐 好き……すき」


ギュウギュウと抱きしめながらずっとそう言っていると、憐が小さく笑って僕の頭を撫でた。




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